第四百三十八話 防衛部隊を見下す時

現場で交戦が開始されると、本部に待機しているアデル達も

その様子を固唾を呑んで見守っていた。


「敵の数は反応上では兵器が20~30、戦艦クラスが2隻。

どう見ても本部に攻め込むような数ではないですね」

「となるとその目的はやはり採掘現場の破壊か、

あるいは偵察だろうね」

「どちらにしても再び動ける位までは、

体制を立て直しつつあるということなのか、

それとも何か裏があるのか」


ESBの三人は星間連合の部隊をみてそれぞれ分析を行う。

その口調は聞いているだけでは冷静に見えるが、

その場を包む緊張感は三人の言葉にも確実に混ざっていた。


一方戦場においては


「ふん、この前までは他の星の邪魔者がいたせいで、

こちらが押し込まれていたが、今回はその邪魔者がいないようだな」


星間連合の兵士が高笑いをしながら防衛部隊に対して攻撃態勢を取っていた。

連合の兵士が乗り込む兵器は直ちに機関銃のような武装を構え、

防衛部隊の兵器に対して乱射する。


「その攻撃は何度も見てるんだよ!!」


防衛部隊の兵士はそう告げると直ちに旋回し、

機関銃を回避する。

だがその直後に他の機体が両肩からミサイルらしきものを撃ってくる。


「ふん、だが見ていようともかわせなければ意味がないだろう?」


防衛部隊の兵士は高笑いをしながら手元のスイッチを押す。

その動作は明らかに緩慢さがあった。


「確かにそうだったさ……だけどな!!」


防衛部隊の兵士はこう言葉を発すると同時に、

操縦桿を握る手にぐっと力を込める。

そのまま一気に前に倒すと兵器の推力を最大にして、

星間連合の機体に接近する。


「ほう、加速してきたか。

だがそのミサイルからは逃れられん!!」


その様子を見ても星間連合の兵士は高笑いを止める事はない。

むしろ計算づくであると言わんばかりの反応であった。


「確かにそうさ、そのミサイルに俺達は何度も辛酸を舐めさせられてきた!!

だけど今回こそはな」


そう告げると防衛部隊の兵士は接近しつつ急速に旋回し、

星間連合の部隊の背面を取る。


「ふん、背面を取ったところで勝ったつもりか?」


その状況になっても尚連合の兵士は防衛部隊を見下していた。

だがその挑発に対し防衛部隊の兵士は


「ああ、勝ったさ」


そう告げる。

その言葉を聞いた星間連合の兵士は一瞬訝しい表情を浮かべるが、

すぐに見下している元の表情に戻りかける。


しかしその直後に星間連合の兵士が乗る兵器の背面で

突如として「ドカン・ドカン」という大きな爆発音が鳴り響く。

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