第四百三十七話 防衛部隊が赴く時

一方その頃、その迎撃に向かった兵士達は


「さて、分かっていると思うがESBの皆さんに改修してもらった機体で戦うのは、

今回が初めてだ。

くれぐれも油断しないようにな」


と言う部隊長らしき人物の声を聞いていた。


「了解」


その声に対して兵士達は一斉に敬礼する。

どうやらこの隊長は兵士からの人望は相応にある様だ。


「この隊長の声久し振りに聞くな。

こりゃ相当テンションが上ってるぞ」


それを終えた直後、兵士の1人がふとぼやく。

しかしそう言っている彼の表情も又、

どこか喜んでいるかのような笑顔をみせていた。


「そういうあなたも結構気持ちが高ぶっているんじゃないの?

その声の音程、どう考えてもぼやいている声ではないわよ」


その声を聞いていたと思われる別の兵士が通信を送ってくると、

ぼやいていた兵士はどこかばつが悪い表情になる。


「いや、まあ、それは……」


ぼやきが聞かれていると思わなかったのか、

兵士の返答もどこか歯切れが悪い。


「まあ、隊長やあなたの気持ちが高ぶるのも理解は出来るわ。

何しろ、私もそうなんだから」


兵士のボヤキに対して突っ込んできた別の兵士も又、

自分も気持ちが高ぶっていると告げる。

しかしその声や表情は静かで落ち着きを感じさせ、

とてもそう思っているようには見えない。


「そうなのか?こっちから見ていると何時もの君にしか見えないけど」


高ぶっているという言葉を聞くも兵士はどこか釈然としない様子だ。

だがその声の調子から先程のどぎまぎした印象は消え、

戦場に赴く状態になりつつある事が伺える。


「お前たち、喋っていてもいいがそろそろ敵が来るという事は分かっているな?」


そこに突然隊長からの通信が入ってくる。

その声は先程の呼びかけよりもやや低く、

先程までのボヤキを聞いていたともそうでないともとれる。


「そうですね、そろそろ来る頃です」


突っ込んできた兵士がそう告げると同時に、

その言葉通りに星間連合の部隊が出現する。


「敵の種類はこれまで交戦してきた兵器のみです。

特に新型等は確認できません」

「となると目的は偵察か、それとも発掘施設の破壊といったところか」

「ええ、あの戦力で再度本部に侵攻しようとしているわけではないでしょう」


兵士達の意見は星間連合の部隊が動いた目的は、

本部に対しての攻撃ではないという事で一致していた。


「行こうか、彼等が手掛けてくれたこの機体の為にも」


最初の兵士がそう告げると同時に兵士達は進軍し、

星間連合の部隊と交戦を開始する。

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