第四百三十九話 星間連合がどよめく時

「つっ、何っ……」


突然の爆発に虚を突かれた形になった為か、

兵士の表情から先程までの余裕が崩れ、明らかに困惑した表情を見せる。


「何だ、何が起こった……」


星間連合の侵攻部隊を構成する他兵士もその手や足の動きに、

小刻みではあるが明らかに乱れが生じていた。


「ミサイルが誤爆したのだ」


その状況を分析したのか、星間連合の兵士一名がふとそう告げる。


「誤爆した!?つまりミサイルの車線軸上に回り込まれたと?」

「そういう事だ、今の動きから考えるとそうとしか考えられん。

奴は推力を最大まで上げる事でミサイルの車線軸上に、

こちらの機体を誘導してきたのだ」


誤爆という単語が響いたのか、兵士の一人が大声を上げる。

それに対して兵士は大声を上げており、

最初に分析をした兵士はその大声を抑えるかのように、

沈着な口調で話しかける。


「ええい、今まで奴らはこのミサイルから逃れた事は無かった。

何故今回は逃れられた!!」

「推進力が以前より強化されたと考える他ないだろうな。

だがミサイルが誤爆したとて、それ以上ではあるまい」


ミサイルが誤爆した事に大して兵士は熱り立つが、

他の兵士は誤爆しただけであり、やられた訳ではないと告げる。

その口調は冷静であり、その兵士が戦況を分析する役割を担っているのは、

想像に難くなかった。


「そうだな、誤爆したとはいえ、こちらはまだ撃墜された……」


誤爆した事でいきり立っていた兵士も機体がまだ動く事に安心したのか、

再び余裕を表情に見せ始める。

だがその直後に防衛部隊の兵士は、

その機体に対して右手のライフル銃の様な武装を構えて放つ。


その武装から放たれた銃弾は兵器の中心を貫き、

風穴を開けて爆散させる。


「な、何!?こちら側の装甲が破られただと!?」

「今まではそんな事は無かった……やはり今回の奴らは何かが違う……」


目の前で兵器が撃墜された事を目の当たりにし、

他の兵士達も手元が小刻みに動いていた。


「ええい、ならば連携して追い込め!!

例え一騎撃墜された所で我々が不利になった訳ではないのだ」


奥に控えている戦艦に乗り込んでいる隊長らしき存在は、

こう大声で叫ぶと兵士達に攻撃を再開するように告げる。

しかしその表情は眉間に深いシワを寄せており、

明らかに穏やかではなかった。


「そうだな、我々がしっかりと連携を取れば奴らに負ける事等!!」


そう告げると星間連合の兵士達は攻撃を再開し、

先程一機を撃墜した迎撃部隊に対して武器を構えて接近していく。



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