第四百三十話 疑問が解決する時

どうやら兵士は兵器に対しては、

接近戦の方が適しているので無いかと思っているようだ。


「そうですね、確かに兵器に対しては接近戦の方が良いのかも知れません。

ですが接近戦に向いているか、現状では射撃戦をした方が良いと、

搭載したAIが判断したと思われます」

「確かに我々の身体能力を考慮すればそうなのかも知れませんね。

今回ここに集まっている面々は射撃戦型ですから。

しかしそれを踏まえてもまだ疑問はあります」

「ええ、あの銃を構えて撃った時、

これまでにない違和感を覚えました」


ライトが淡々とした返答を続けると兵士は一つの疑問については、

納得する。

その表情が特に変化しなかった事がそれを裏付けていた。

だが疑問はまだあると更に問いかけを続ける。


「それは恐らく銃のAIが射撃を補佐したのではないかと思います。

既に急所のデータは入手していましたからね」

「しかし、入り口で一線を交えただけでそれが出来るものなのですか?」

「急所の場所は私達の攻撃で突き止められていました。

そしてそのデータを共有したので不可能な話ではありませんよ」


その次の疑問に対してもライトは淡々と答えている。

その様子に普段の突拍子も無い声や表情は見せておらず、

真剣に会話をしているのが伺える。


「つまり銃が自動で照準を補正してくれた為に、

性格な急所を撃ち抜いてくれたという訳ですか?」

「その可能性が最も高いですね。

ですがそもそも射撃に向いていない人であれば、

銃に変形する事は殆ど起こり得ないので、

皆さんが射撃型であることも少なからず影響していると思います」


兵士の疑問はなおも続く、いや聞けば聞く程浮かんでくるのかも知れない。


「まあ、まだ疑問に思う部分はありますが、

とりあえず現状はその説明で理解できました」

「そうしていただけますと幸いです。

いつまでもここでじっとしている訳には行きませんからね」

「ところで資材を発掘すると言っても、具体的にはどの様に発掘するのですか?

この雰囲気だと掘り進めて進路上にある資材を回収していくのか、それとも、

他の方法があるのかお伝えいただけますか?」

「特に変わった部分はないと思います。

機器を用いて掘り進め、その中にある資材を回収していきます。

しかし採掘現場の殆どの砂の中には、

資材が含まれているので回収自体には苦労しません。

ですがその前の問題として、場所が限られている為に確保に苦労しているのです」


兵士の中に芽生えていた疑問は一旦解けたようだが、

回転ドアのように今度はアップル達が質問を始める。

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