第四百二十九話 兵士の疑問を聞く時

ライトはそんな兵士の様子を見ると


「では、少し移動してきてもらえますか?」


と言いながらゆっくりと体を反転させて、

その足を前に進め始める。

その後をついて兵士達も先に向かっていく。


「さて、この辺りでいいでしょうか?」


先に進み、豪邸の大広間程の大きさがある部屋にたどり着くと、

ライトはふと手元から緑色の球体を出す。


「えっ、その見た目は……」


球体に目をやった兵士達は少し困惑した表情を見せる。

色は違えど球体の見た目は先程自分達が使った、

つまりここに来る途中でライトから渡された物と同じ物であったからだ。


「ああ、こちらも先程皆さんが使った道具と同じ様な物ですよ」


兵士の反応から疑問を察したのか、その口はすぐさま話し始める。

しかし返答をもらったにも関わらず表情は変わらない。


「様な……というのはどういう意味ですか?」


直後にこう続けた所を見ると、

どうやらライトの返答に引っかかる部分があったようだ。


「ああ、色が違うのはこういうことですよ」


兵士の言葉の引っ掛かりを察したのか、

ライトはすぐさまこう返答すると球体のスイッチを入れる。

するとそれは姿を変え、机と椅子へとその形を変える。


「机と椅子に変化した。

なるほど、どうやら色でどの様な機器に変化するかが異なっているようですね」

「その通りですよ、紫は武装、緑は急速用品に変化します」


椅子だけでなく兵士の表情も緑の球体と共に変化する。

どうやら変化した事で納得した様だ。

だが兵士の表情は直ぐに元の中心に各部が寄った顔に戻る。


「では、少しお話を聞かせていただけませんか?」

「あなた達の言いたい事は予想できています。

恐らくは今回使用したこの球体についてですよね」

「ええ、決して不満があるわけではないのですが……」


兵士が淡々と口火を切ると、ライトもまた淡々と返答する。

それに対して兵士は少し低い声で呟く。


「既にお分かりの通り、その球体は僕達が戦場で使う道具へと変化します。

そしてその変化は使用した人物の情報を瞬時に読み取り、

状況に最も適した物に変化します。

最も何時も万能とはでは行きませんが……」


兵士の疑問についてライトは視線を外すこと無く告げる。

どうやら後ろめたいことがあるわけではないようだ。


「それは分かりましたが、どうしてあの兵器に銃弾を?

接近専用の武装の方が効果的だと思ったのですが……」


それに対して兵士はこの様に返答する。

どうやら兵器に対しては接近戦の方が効果的ではないかと

考えているようだ。

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