第四百二十話 マルティー本星に移る時

「それに誰があの司令官に情報を提供したのか、その点も気になる。

ルルが存在している事を示唆する情報をそんな簡単に流すとは思えないからね」

「当然それをするとなればそれだけの理由がある、そういう事ですね」

「それに、司令官がルルの情報を知っている事を

見越したような提供の仕方なのも気になるぜ。

かと言ってあの状態で部隊がピープルに偵察員を送り込む余裕があるとは

思えねえ」

「考えられるとしたらピープルが一枚岩でないというパターンかも知れない」

「そうだとしたらそこに付け入る鋤があるのでは」


司令官に情報を提供した存在についても疑問を呈する一同。

だがその答えがすぐに出せるはずも無く、少しの間沈黙が流れる。

するとルルが


「ところで話は変わりますが、司令官が言っていた彼というのは

一体誰のことなのです?」


と質問してくる。

それは単に質問しただけなのか、

それとも場の空気を変えようとしたのかは分からない。

ただ、その質問は確実に場の空気を変える。


「ああ、ライトの事だね。

今は外宇宙で僕達が協力している星の部隊で現地の資材を用いた

戦力を提供しているよ」


こう解答したのは神楽だった。

それに対してルルは


「外宇宙?私には良く分からない話ですが、

どうやら皆さんは私の想像を超える規模で戦いを繰り広げられている様ですね」

「セリアンやスロープ君達の世界には宇宙という概念が存在しないの?」

「少なくとも私の記憶には存在していません。

最も昔の話ですから今どうなっているのかは分かりませんが」

「場合によってはピープルによって押さえられて

そこから攻撃される事も有り得るという事だね、

その点は警戒しておいた方が良いかも知れない」


と返答し、ルル自身は宇宙の概念を知らない事を告げる。

するとそれを聞いた神楽が何か思ったのか


「思ったのですが、

一度マルティー星に連絡を入れてみた方が良いのではないでしょうか?

そろそろマルティー星でも何か動きがあっても良い頃ではないかと」


と提案する。


「確かにそうだね、マルティー側が現状どうなっているのかも気になる。

そろそろ精悍連合も次の動きを見せてきても不思議じゃないからね」

「確かにそうかも知れない、一度通信を入れてみよう」


高御はそう提案すると、通信機を手に取る。


~その少し前・マルティー本星にて~


「どう、戦力は整ってきてるかい?」

「ええ、彼等の協力のおかげで以前とは比べ物にならないペースで揃っています。

しかし一方で安定した資材の確保がまだ課題ですね」


こう話すアデルと側近の兵士が居た。


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