第四百九話 青が話し始める時

「エリー様?いつ此方に来られたのですか?」

「ついさっきよ、青、あなたがどう知った状態かを知る為にね」


エリーの声に対して青が質問すると

今の状態を知るために来たのだと返答する。

その言葉の意味を測りかねているのか、青は少し困惑した表情を浮かべる。

最も、その表情は普段の、これまでの彼女とは全く違っているのだが。


「今の私の状況?」

「ええ、あなたはさっき亡霊を憑依させる為に、

獣人の子供を連れ去っていたと言っていた。

そしてあなたがさっき言ったルルという言葉。

これはその亡霊の名前なのでしょう」


青がピンとしない表情を浮かべるが、

エリーはこう淡々と状況を説明する。


「そして今のあなたは明らかに獣人、

いえ獣に変身している、つまり今の貴方はその亡霊が憑依している。

そういうことなのではないの?」


エリーが更にこう言葉を続けると青は


「……ええ、その通りです。

そして私の中には今ルルの意思も存在しています」

「やはりね、あなたの中から別の意思、

心を感じる事が出来るもの」

「やはりお気付きでしたか。

ですがエリー様が思っている様な事態が起こる事は、

少なくとも今の時点では起こりませんから」


とエリーと会話を続け、現在エリーが考えている懸念は、

少なくとも現在では起こらないと告げる。

しかしその懸念の正体については語らないが。


「しかし、青に憑依したって一体何が起こったの?」

「ええ、我々があの部屋から子供達を連れて離れた後、

その亡霊がどうして……」


明帝だけでなく、兵士達も青について疑問に思っていたらしく、

声を続けて話しかける。

その声を聞いて青は


「ええ、話しておいた方が良いですね、

では今からお話します」


その疑問に答えた方が良いと思ったのか、

青は口を開いてあの後何があったのかを話し始める。


「皆さんをあの部屋から逃した後、私は……」


~青に向かって九尾が飛びかかってきた後~


「今だわ!!」


飛び回って銃弾を避け続ける九尾に対して、

青は銃を構え、その正面に陣取って弾丸を放つ。

しかしその弾丸は九尾を突き抜け、全く被弾しない。


「どういう事なの!?

銃弾は確かに当たったはずなのに被弾しないなんて……」


青が困惑したその鋤を付き、九尾は青に接近してくる。


「つっ、しまった!!」


青はすぐさま回避行動を取ろうとするが既に間に合わず、

そのまま九尾は青にぶつかり、その体を光に変えて包み込む。


「え……何これ!?何かが私の中に入ってくる?」


光に包まれた青は明らかに困惑した表情を浮かべる。

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