第四百八話 九尾の正体がわかる時

「い、いえ、それは……」

「なにか言いたくない理由でも有るのか?

流石に俺達も今回の一軒では黙っているわけには行かないぜ」

「そうですね、これは今後の作戦にも影響が出ると言わざるを得ませんね」


高御の苛立ちを感じる声に対して司令官がたどたどしい返答を行うと、

その様子にスロープや長老も苛立ちを感じる。

そこに青が


「あなたの口から話せないというのであれば、

私の口から話しましょうか?」


と何かを言い出そうとする。


「え?あなたが説明を……」

「ええ、出来ますから」


司令官が明らかに戸惑っているのを尻目に青はその口を開きだす。

すると


「あの場に子供達が集められていた理由、

それはこれです!!」


と青は告げる。

その直後に青の体が輝き出す。


「え……青、何を……」


その光景に明帝や高御も驚きを隠せない様子をみせる。

そうしている間にも青の体に光は広がり、

そして縮んでいくが、その体は明らかに光が広がる前とは異なっていた。


「あ、青さん……」


セリアンがそう呟いた後、青の体から光は消滅する。

だがその姿は明らかに人ではなくなっていた。

それは九本の尻尾を持つ九尾の狐というのがふさわしい姿だ。


「そ、その姿は……」


変化した青の姿を見てその場に居た兵士の一部がこう口にする。

その兵士は今回の作戦で救出を担当した兵士達であった。


「ええ、あなた達は子供達の近くに行っていたのですから、

この姿に見覚えはあるでしょう。

そしてこの姿、いえ、ルルがあの場にいた事こそが

子供達が連れてこられた理由なのです」


姿を変化させた青はこう告げる。

どうやらるるというのは九尾の名称の様だ。


「その姿と子供達がいた事に何の関連性があるの?

いや、そもそもその姿は何?」


あまりの自体に明帝も少々混乱しているようだ。

その言葉は何時もより明らかに要領を得ていない。


「順を追って説明しましょう。

まずはこの姿なのですが、これはあの場所に封じ込められていた、

かつての戦乱で活躍した獣人の亡霊、いえ魂です」


青はこう告げる。


「魂?それはつまり……」

「そう、実態が無いという事、そして子供達に憑依させる事で、

ピープルはルルを復活させ利用しようと目論んでいたんです」

「司令官、あなたはルルの存在を知っていたのではありませんか?」


更に青はこう言葉を続けると司令官の方に目を向ける。

その揉めに睨まれた司令官は明らかに視線をそらそうとするが底に


「おっと、ごまかしは出来ませんよ」


というエリーの声が聞こえてくる。


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