第三百九十話 獣人を薙ぎ払う時

「となると少し強引に突破した方が良さそうね。

皆、少し気合を入れて走れる?

パウがそう告げると一同は顔を見合わせ、

そのまま黙って首を縦に振って頷く。

その反応を見たパウは少し笑顔を浮かべると進路上に目をやると


「行くわよ、ネイチャー・ロック!!」


パウはこう大声で叫ぶと地面から植物のツタを出現させ、

それで迫って来ていた獣人の身柄を拘束する。


敵の動きを封じ込め、移動をスムーズに行けるようにすると

その近くを一同は駆け抜けていく。

だがその直後に奥から更に獣人の増援が現れ、すぐさま一同を

攻撃しようとしてくる。


「くっ、だけど遅いよ!!」


里愛はそう告げると両手に拳銃を構え、そのまま獣人に向けて発砲する。

その狙いは正確であり、獣人を正確に撃ち抜いていく。


「流石里愛、拳銃の扱いは僕達より上だね」

「褒めていただいて悪い気はしませんが、今はそれよりも

獣人の迎撃、突破が最優先です」


明帝が里愛の拳銃の腕を褒めると里愛は一瞬笑顔を見せるものの、

その直後にすぐさまシリアスな顔に戻して明帝に声をかける。


「そうだね、それに敵の数もだんだん増えてきてる。

恐らくはこの奥に一番行ってほしくない部分があるんだと思う」

「ならばここで立ち止まるわけにはいかねえな。

まかり通らせてもらうぜ!!」


里愛の言葉を受けた明帝がこう告げるとクウォスはこう告げて前に突撃していく。

そして能力を発動させたのか、格闘術で迫ってくる獣人をなぎ倒していく。


「クウォスさんも前に出てくれている……だけど俺達の世界の事で

俺達が頑張らねえわけにはいかないよな!!」


その様子を見たスロープも又前に向かっていき、クウォスと並んで獣人の前に立つ。

そして獣人を前にして爪を立てる。


「マジック・スラッシュ!!」


そう叫ぶと爪に魔力を込めて獣人に向けて振りかざし、

その斬撃で獣人を両断する。

更にその爪から衝撃波を放ち、前方から迫ってきた獣人達を切り裂きながら

弾き飛ばす。


「そろそろ奥地に辿り着く頃だと思う、皆準備を怠らないで」

「言われなくても敵地で警戒を解いたりしないわよ」

「ええ、此方も警戒していますよ」


明帝の呼びかけに対してパウとセリアンが返答し、警戒は続けている事を告げると

明帝は安心こそしていないものの、警戒を緩めていない事に一同の思いを知る。


「見えてきたよ、そこ!!」


明帝がそう叫ぶと同時に前方に大きな扉がある部屋が発見される。

そこが目的の部屋であることは明らかであった。

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