第三百八十九話 施設の奥に向かう時

青に続いて兵士達も交戦を開始する。

その戦い方は見事であり、ピープルの獣人を次々に倒していく。

だがその戦い方を見た青は


「彼等の戦い方は見事ね……寸分の狂いもなく連携を取っている。

だけど、だとしたら今まで戦ってこなかったのは一体……」


と寧ろその内心で疑問を抱いていた。

その連携が出来ているが故に今まで戦っていなかった理由があるのか?

あるとすればそれが何なのか、そうした疑問が浮かんでくる。


「どうしたのですか?動きが先程より鈍っていますよ」


その様子を見られたのか、兵士は青にこう声をかけてくる。


「いえ、兵士の今回の動きが何か狙っているのかどうか気になって」

「確かに何らかの狙いが有るのかもしれませんが、

今その事を話しても仕方ないのでは?」

「ええ、その通りですね。

まずはいま目の前にいる敵を倒さなくては!!」


兵士に声をかけられた青は意識を目の前の兵士に戻し、

青はピープルの獣人に対して攻撃していく。


「疑問を解き明かす為にも此処で立ち止まるわけにはいかないわね」


青は内心で自分に言い聞かせると兵士と共に戦っていく。

一方先に進んだ他の面々は多くの部屋に繋がる広間に出ていた。


「ここは様々な部屋に繋がっているようね。

だとするとそろそろ……」


パウがそう告げると同時にその予想が当たったのか

ピープルの獣人が各部屋から出てこようとする。

だがそれを予測していたのか里愛が出現した獣人目掛けて

手にしていた銃を発砲していく。


「出てきて早々に攻撃か、流石里愛、反応が早いね」


明帝がそう告げると里愛は


「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、

明帝様もお気付きだったのでは?」


と嬉しそうな笑顔を浮かべつつも

すぐさまその表情は何時もの冷静なものになってこう話す。


「どうしましょうか?ここから見えている部屋全てに兵士が居るとすると

その数は大体……」

「いや、この部屋から続く場所の何処かに

何らかの実験施設らしき場所がある事がさっきのデータルームで判明してる。

だとすると此処でとどまるのは得策じゃない」

「つまり、何処かから敵の増援が終わること無く出続けるかもしれないって訳ね」

「でもそれだと此処をやり過ごしても

後から追跡してくるって事なんじゃ無いのか?」

「そうなるね、だからここからは時間との戦いになる。

可能な限り迅速に進むよ」

「で、ここからどちらに向かって進んでいくんですか?」


状況を冷静に分析しつつ一同が会話を行うと明帝は


「二階部分にある通路の先だよ」


と行き先を告げる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る