第三百八十三話 標的の事を調べる時

やはり言い出したと言うことも有るのか明帝は率先して機器の操作を始める。

その手付きは明らかに慣れており、初めて扱う機械とは思えない。


「随分手慣れているんですね、この施設に来たのは初めてでしょう?」

「ああ、たしかに初めてだよ。

だけど僕の能力で解析出来るからそこまで時間はかからない」


その状況を見たセリアンが問いかけて来ると明帝はこう返答し、

自身の能力が機器の操作に生かされていると語る。

だがそれを聞いたパウが


「ねえ、今思ったんだけど何で司令官は私達を置いて

そのまま何処かに向かったのかしら?

いくら作戦の準備が有るとは言え、データルームを私達が操作する事で

機器が破損する危険性もあるでしょう」


とふと疑問に思っていた事を口にする。

するとセリアンは


「そう言われればそうですね、私達の本部とは違う機器が置かれているのに

その点を放置して他の場所に行くなんて」


と答える。


「だとすると、そもそも此処には大切なデータが存在していないのか、

それとも他に予備でもセットしているのか、そんなところだろうな」


クウォスがこう口にするとパウは


「ええ、確かにそういうところでしょうね。

だけど他に何か出来る事が有るわけでもない、

ここはおとなしくこの部屋からデータを調べていくしか無いわね」


と話し、それを聞いた明帝は


「そうだね、確かにここはこのデータから得られるものを得ておこう」


と言い、機器を操作していく。


「さて、目的のデータはこの辺に有るのかな……これかな?」


少しして明帝が画面に表示された何かを見ながらこう発言すると


「さて、コレが今回の標的となる施設だね。

構造はかなり大きな施設だ」

「私達を加えたいというのも納得ね、

これだけの施設となると内部には相応の数の兵士が居るでしょうから」

「ええ、だけどそれだけの為に呼んだのではないでしょうね。

恐らくはここに何かがある」


明帝が発見した画面は直ちに全員に共有され、それを見ながらそれぞれに

感想を述べていく。

その発見されたのは大型施設の設計データ、及びその構造と思わしき物であった。


「この構造から考えると下部分が海、又は川に直接繋がっていますね。

恐らくはここから何かを出し入れしているのでしょうね」

「水系の何かを使って何かをしているのでしょうか?

例えば水力発電とか」

「まあ、その可能性もあるけど、その用途が不明なのが一番引っかかる」


データを見た一同は口々に感想を述べる。

セリアンとスロープも


「この施設、俺達も始めてみたな」


と声を重ねていう。

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