第三百八十二話 データルームに案内される時

先頭を歩き始めた司令官の後に続いて一同は足を進め始める。

そのまま移動して行くが、その最中に目に入施設の壁は

どれも無機質な青で塗装されていた。


だがその色は目を癒すといった効能は感じられない。

寧ろ必要以上に青をアピールする事で何かを隠しているようにすら思える。


「さて、到着いたしましたよ」


司令官がそう告げて足を止めるとその言葉通り近くに扉があった。

その奥がデータルームなのは容易に想像が出来る。

だがパウは


「ここがデータルームなのですか?」


と問いかける。

その様子は明らかに確認をしようとしていた。


「はい、此方がデータルームです」


司令官はパウにこう告げると同時に近くに設置されていた機器に端末を翳し

扉を開く。

すると扉の中にはモニターと機器が幾つか設置されており、

それがここがデータルームである事を物語っていた。


「さて、私は作戦部隊を編成しなければなりませんので」


司令官はそう告げるとその場から足早に去っていき、データルームの中には

明帝、パウ、クウォス、セリアン、スロープ、里愛、青が残された。


「さて、どうする?」

「とりあえずデータルームには来られたけど、

あの様子だと此処でどれだけのデータが得られるのかは正直疑問だね」

「まあ、それでも得られないよりはマシだろ」


パウが明帝に問いかけると

この様な返答が行われ、それに対してクウォスが

データが得られるだけマシであると答える。

その様子から一同が司令官に対して不信感を抱いているのは明らかであった。


「やはり皆さんもあの司令に不信感を抱いているのですか?」


その様子を見てセリアンは悟ったのか、明帝達に司令官について

問いかけてくる。

それを聞いた明帝は


「ああ、実は敵であるとまでは行かないが、

何処か腹に一物あるような雰囲気を感じさせるよ」


と返答する。

それを聞いたスロープは


「まあ、それは俺達も同様だけどな……」


と何処か同意したような、不安なような口調で話しかける。


「君達がそう言うという事はやはりあの司令は……」

「そう言えば僕達の世界から長老と話して居る時にも司令官について話していたね」

「そう言えばそうだな、ただ今司令官について話しても仕方ねえ。

当初の予定通りデータを調べようぜ」

「そうだね、もし万が一司令官の一物が問題を引き起こしたら、

その時は相応の落とし前をつけてもらう事にしよう」


明帝、パウ、クウォスはこう話し、司令官への疑問を抱きつつも

とりあえずはデータを調べることを決める。

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