第三百八十一話 役割が決まる時

「では、肝心の施設攻略ですが、そちらの部隊は……」

「それは僕達が引き受けましょう」


司令官が中心部分への戦力について話し始めようとすると

その直後に明帝が言葉を割って入る。


「おや、そちらから申し出てくれるとは。

皆さんには揺動をお願いしようと思っていたのですが……」

「僕達はセリアン、スロープと共に施設を制圧した経験があります。

その時の経験も生かす事が出来るでしょう」

「分かりました、そこまでおっしゃるのであればお任せしましょう」


司令官は一瞬戸惑った表情と声を上げるものの、

直ぐにその調子は先程までの調子に戻り始める。


「なら私達は皆さんと長老の部隊、どちらに入れば良いのでしょうか?」

「二人はそちらの方と一緒に作戦に参加してくれ」

「つまり施設へ向かって欲しいという訳か、分かったよ」


セリアンがどちらに加われば良いのか問いかけると

長老はESBの面々に加わる様に告げる。


「分かりました、では陽動は我々とそちら、施設への突入は

別世界の皆さんとお二人にお願いしましょう」


司令官はそう話すと更に


「さて、それでは戦力の準備をしなければ。

此方の準備は三時間程で終わります」

「こっちは一時間程だ」

「おや、随分とお早いのですね」

「ああ、先日の施設奪回で戦力に余裕が有るからな」


と長老と会話を続ける。


「もし可能であれば施設の情報を提供して頂けますか?

その方が作戦がスムーズに行きますから。

いえ、本音を言えばこの施設に有るデータベースにアクセスできる様に

していただければ尚嬉しいのですが」


作戦についての話が終わった所を見計らって明帝がこう話す。


「成程、確かにデータはあった方が良いですね。

分かりました、では作戦開始までの時間に

データルームは自由に立ち入って下さって構いません」


明帝がデータを調べたいと告げると

司令官はそれを了承する。

だがその顔が尚変化しない事に明帝の内心は穏やかではなかった。


「データルームはというのは?」


返答のなかに引っかかった部分があったのか、パウがこう問いかける。

すると司令官は


「流石に今会ったばかりで施設全体を動き回ってもらう訳には

行かないでしょう。

中にはここに住む生命の私的な部分もあるのですから」


と少し困惑した顔で返答し、それを聞いたクウォスは


「確かにそれはそうだな、なら俺達はデータを調べる事に専念しよう」


と返答する。


「では今からデータルームに案内します。

君達は戦力の準備を整えてくれ」


司令官はこう告げると一同の先を歩き始める。

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