第三百八十話 向こうの司令と出会う時

「あなたが今回の作戦の司令官ですか?」

「はい、私が今回の作戦を指揮します」


パウが尋ねるとその司令官はこう明確に返答するものの、その表情は何処か

飄々としており、不安を感じずにはいられない。


「で、具体的にはどうするつもりなんですか?」

「まずは此方から戦力を投入し、敵戦力を出撃させ、

その後手薄になった拠点を皆さんに強襲していただきたいのです」


司令官はこう告げるものの、その内容は何処か不安を覚えずには居られない作戦とは言い難いものであった。

その内容を聞いたクウォスは


「戦力というが、その規模がどの位なのか把握しているのですか?」


と問いかける。

それに対して司令官は


「ええ、比較的規模の大きな施設なので分散させると言っても

半数以上を出すのは難しいでしょう、ですが……」


となにかを言いかけ、その瞬間にセリアンが


「此方の部隊からも攻撃を仕掛けて挟撃すれば戦力を更に分散できる、

そうおっしゃりたいのですか?」


と口を挟み、それに対して司令官は


「やはりお話が早いですね、その通りです。

もし可能であればそちらからも部隊を派兵していただければ

有り難いのですが」


と話すが、その様子は明らかに何かを試している様な印象であった。

それを聞いたセリアンは


「一応通信機越しに長老にも聞いてもらっていますが、

その返答をいただかない事にはなんとも言えません」


と返答し、この場では返答出来ないといった趣旨の発言を行う。

だがその直後に部屋の中にある通信機に連絡が入ってくる。


「おや、このタイミングで通信が入ってくるという事は……」


司令官がそう呟いて通信に応対するとそこから


「話は聞かせてもらったぞ、確かに此方にも戦力の打診はしていたが、

セリアンにその選択を委ねさせようとするのは少し重圧が重すぎないか?」


という長老の声が聞こえてくる。


「ふふ、確かにそうかもしれませんね、それは謝罪しておきます」


司令官はそう告げると一礼するものの、

やはりその様子は何処か飄々とした印象を受ける。


「しかし、その直後にそちらから通信を頂けたという事はつまり……」

「ああ、そちらの要望通り戦力は送ってやる、

その代わり変な駆け引きを行おうとするな」


長老は司令官に戦力の提供は証言するものの、その発言は明らかに

怒りが混ざっていた。

それを聞いた明帝は


「あの声のトーン、明らかに怒りがこもっているな。

この司令官は油断ならないやつなんだろうね」


と司令官の内面を推察する。

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