第三百三十三話 本星への通信を入れる時
「つまり、あのライトさんという人は皆さんも持て余している問題人物という訳ですか?」
「そこまで強くはないかもしれないけど、そう言っても差し支えないかもね……とにかく、彼の発明で今回の捜索が捗るのであれば今は大目に見るしか無い」
アデルが更に問いかけると高御は今回の一件は大目に見るしか無いと告げる。
しかしその表情は大目に見ていると言うより既に諦めているとしか言い様がないものであった。
「で、その捜索にはどの位かかりそう?」
「はっきりとした時間は言えませんが、可能な限り早急に捜索してもらいます」
「頼んだよ、僕はこれから地球側に事情の説明と協力を要請するから」
高御がそう告げると共に一同は謁見の間を後にし、アデルもその中に紛れる。
「大丈夫なのですか?元となったのは我々の技術とは言え彼等側の技術が交わった物を本星の面々はまだ使用した事がありません。果たして使いこなせるのか……」
「僕達もここに来る前は全く同じ状況だったんだ、それにこれだけ追い込まれた状況、それを放置しておいたら間違いなく大惨事になる。
地球に対して長距離砲撃を仕掛けるなんて暴挙が出来る様になったのなら間違いなく本星の部隊も危機に晒される、否既に晒されていると言っていい、これ以上時間の猶予はないと思う」
「それだけではないのでしょう?」
側近の兵士とアデルが会話を交わす中、兵士の一人が意味深な言葉を投げかける。
「そうだよ、僕達の方は倒すべき目標が何処に居るのかはっきりしてる、それに同一次元の中にいるから彼等に対応を促すのも容易だ。
だけどピープルについてはそうじゃない、万が一異世界から凄まじい数が押し寄せてきたりしたらこちらの世界が一気に陥落してしまう可能性もあるんだ」
兵士の問いかけに対しアデルはスロープ達の世界も気にかけている事を告げる。
そしてその為にも早急に驚異を取り除きたいと思っている事も告げる。
「それは分かっています、いざとなれば我々も戦いましょう」
「もとよりそのつもりだよ、ピープルの考え方からすると恐らく此方と和平を結ぶつもりはないだろうからね」
「ええ、奴等のやり口は恐ろしい程異星連合と似ています。
恐らく考えている事が同じなのでしょう」
「力による世界の支配ですね」
「ええ、何処の世界にも同じ様な事を考える輩は居るという事なのでしょうか?」
兵士達とアデルの会話から力による支配に対する嫌悪感が滲み出ていた。
「なら、早々に彼等に連絡して装置の使用方法に慣れてもらわなくては」
兵士がそう告げると同時にアデル達は自分達の移動挺に戻り、本星へと繋がる通信を入れる。
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