第三百三十二話 目下頭痛の種を話す時
「ええと、ライトと言う人が僕達の技術について興味を持っていたので此方側にあった装置を幾つか提供した所、それに対して僕達も驚くべきレベルで改良してくださったのでそれを幾つか送ったんです」
問いかけに対してアデルがこう返答すると質問をした神楽や高御を始め、その場に居た全員が呆れた様な表情を見せる。
「え?皆さんのその表情は……何か問題があったんですか?」
全員の様子を見て只事ではないと判断したのか、アデルが慌てて言葉を続けるとミスティは
「いや……そういう訳じゃないんだけど……」
と返答するがその表情は全く変化していない、まるで何かに苦悩している様だ。
「そういう訳じゃないと言いつつ、そうは見えないのですが……」
アデルが更に言葉を続けるとパウは
「いや、問題があるのはアデル君ではなくてライトの方なのよ……」
と零し、そこでアデルも問題の本質がライトに技術を提供した事であると告げる。
「そのライトと言う人物はそこまでの危険人物なのですか?」
その顔に深刻さを感じ取ったのか、アデルも流石に困惑した声を上げる。
それに対して七宝は
「いえ、危険人物と言う程ではないのだけどとにかく技術やデータの追求に粗全ての欲が向いている人物なのよね。
故に今回の様に事後報告すらされてない事もしばしばなのよ……」
と発言する。
「つまり、皆さんはライトさんがその事を報告していなかったのが一番の問題だと思っているのですね」
「そういう事、まあ技術の腕は確かだからその装置が使い物になるのは保証するけどね」
「ええ、で、どんな物を提供したの?」
「幾つかの兵器と敵位置を察知するレーダーですが、それを改良かつ量産してくれたので本星の戦力にも送ったんです。
勿論ライトさんから許可は取りましたが……その様子だと……」
「ええ、完全に事後報告すら来てなかったわ」
アデルと他の面々が会話するが、ライトが完全に事後報告すらせずにアデル達マルティーの技術改良を行っていた事が判明したのが一番の問題点であると察する。
「まあ、その点については後でライトに問い詰めたい所なんだけど……多分やっても無駄だろうね」
「ええ、彼が事後報告すらしてこないのは今に始まったことじゃありませんから……」
「しかも此方の痺れが切れそうになるタイミングでは報告してくるのが又やりにくい……」
高御とパウの会話の様子からアデルは今回のような事態が今に始まった事ではなく、ライトがこれまで何度も同様の事が行われていた事を察する。
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