第三百十四話 ライトが動く時
パウ達が外に出た時、外は長老の部隊と思われる長蛇の列が出来ていた。
その先陣を切っていたのはセリアンとスロープであった。
少なくともパウ達にはその様に見える行進をしていたのだ。
「セリアンちゃんとスロープ君……でしたっけ?私達は直接会った訳じゃないけど彼等も戦うのね」
「ああした子達も戦わないと行けないのね……」
「いや、長老は願わくばそんな事にはなってほしくねえと思ってたと思うぜ」
クスナとアップルがそれを見て感想をふと漏らすとクウォスは長老は本当は彼等を戦場に出したくないのではないかと話す。
「クウォス?一体どうしたの?」
「まあ、根拠はねえけどよ」
クウォスがそうした事を言うと思わなかったのか、パウが思わず疑問を投げかける。
するとクウォスは今の発言に根拠はないと告げる。
どうやら根拠を求められても困ると言った主旨の様だ。
それを察したのかパウは
「いえ、エリーや高御様、ミスティ様以外にそれを求める事は出来ないけど、それを差し引いて考えてもクウォスがそうした事を言うって思わなくて……」
と疑問を投げかけたのはそこではないと告げる。
「まあ、あの子達も自ら望んで戦場に出たのかも知れねえが、そもそも侵略は受けてる側だ、その点が俺達とは決定的に違う、この部分は考えてやらねえとな」
その直後のクウォスの発言は答えになっているとも居ないとも取れる様な微妙な物であった。
「……そうね、私達も行きましょう」
その言葉を聞いたパウは視点を次の作戦に向ける事を決める。
そして三十分程移動するとセリアンとスロープが居る列の方から突然
「ドカン!!」
と言う激しい爆発音が聞こえてくる。
その激しさは周囲を揺らし、遠くに居ても鼓膜に響いてくる。
「始まったわね、私達も急ぎましょう!!」
パウがそう告げるとライトは
「ええ、既に機器の準備は完了しています。
皆さん装着を!!」
と言って手元から何かのスイッチを取り出し、それを起動させる。
すると目の前に小さな転移通路が出現しそこから人数分の何かの機器が出てくる。
「今のは?私達も初めて見る機械だけど……」
七宝が困惑した声を出すとライトは
「超小型の転移通路を出現させたんです。
最も空間同士を繋ぐ程の出力や持続時間は出せないので完全に一方通行ですが」
と話し、それを聞いた七宝は
「なるほど、それでも機器の保管場所としては使えるって訳ね」
と納得した表情を浮かべる。
「納得した表情もいいけど、今はそれよりも作戦が優先だって事、忘れないでよね」
パウに促されると七宝は
「そうね、その事を失念する所だったわ」
と視線を現実に戻す。
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