第三百十三話 長老の不安を耳にする時
「宜しいのですか?各々が好き勝手に行動しては纏まりがなくなり、結果として共倒れになるリスクもありますが……」
「それでもです、前回の介入時の皆さんの行動を考えれば無差別に攻撃するような事はなさらないでしょう。
一つ不安があるとすれば……」
「今回の標的である施設は可能な限り傷を付けずに奪還したい……ですか?」
長老の発言に流石に不安を覚えたのか、パウが確認する様に問いかけるが長老の結論は同様に自由にやってもらって構わないだった。
だがそれでも全く不安が無い訳では無いのだろう、最後にその事をいいかけるとパウがそれを代弁するかの様に返答する。
それを聞いた長老は
「ええ、あの施設は周辺に居住区を備えており、奪還後再び拠点として活用します、ですからそこに損傷が酷く入ってしまうと……」
と言いかけ、此処まで聞いた七宝は
「その修復に時間を取られ、ピープルへの反撃が遅くなってしまうと言う訳ですね」
とその後の言葉を続ける。
それを聞いた長老は
「ええ、その為可能な限り施設や居住区への損傷を抑えながら奪還を目指したいのです。
無論厳しい事は承知していますし助力をお願いしておきながら成約をかけてしまうのも申し訳ないのですが……」
と申し訳無さそうな表情を見せる。
その表情を見たクウォスは
「この表情、どうやらそれだけじゃ無さそうだな、だが今はこれ以上掘り下げるときではないか」
と他にも何か疑念を感じるものの、その事を敢えて口には出さなかった。
「では、我々は直ぐに部隊を出撃させます」
「此方も準備を進めますね」
「ライト、機器の準備は出来てるの?」
「勿論!!寧ろまだかまだかと待ちくたびれそうだったよ」
長老が出撃命令を下すとそれに対してパウも出撃する事を告げる。
それに続けてクスナがライトに確認するように話しかけるとライトはずっと待っていたといわんばかりに返答する。
作戦開始前だと言うのにその声は何処か、ある意味危うさを感じる程に明るい。
それに対してパウやクウォス、七宝すらも窘めない辺りを見るとどうやら根本的な部分からそうした性格なのだろう。
「じゃ、俺達も行くぜ!!」
「ええ、見ている訳には行きませんからね」
スロープとセリアンがそう言って部屋から外に出ていくのを確認するとパウは
「さあ、私達も行きましょう。
流石に此処でいきなり飛ぶ訳には行かないからね」
と他の面々に対し外に出る様に促す。
他の面々も顔を合わせて頷き、外に出る事に同意すると移動していく。
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