第三百十話 新たな三人を紹介する時

「で、神楽、具体的には誰を彼等の元に送るつもりなの?」

「現状で考えているのはアップルとライナ、そしてクスナの三人です。

適切なデータを入手するという目的に一番適しているのは彼等ではないかと思いますので」


高御からの問いかけに対し神楽がこう返答すると高御は


「確かにその通りかも知れないね」


とその考えを肯定する。

そこにアデルが


「その三名は具体的にどの様な方なのですか?少なくとも自分達とは面識の無い方ですが……」


と会話に割って入ってくる。

どうやらアデル達には聞き慣れない名前だった様だ、こう問いかけてきているのがそれを裏付けている。


「ああ、三人とも君達とは生活区域が異なっているからね、普段はあまり居住区域には来ない」


高御がアデルにそう説明すると


「そうなのですか……まだまだ貴方達の組織でも知らない事が有るのですね」


と返答する。


「では早速今の三人を収集するわね、彼等が今何をしているのかを伝達するわ」


エリーはそう言うと両目を閉じてなにかに神経を集中し始める。


「どう?今はどの辺りに居る?」


神楽が問いかけると少し経ってからエリーは


「これは……何時もの場所にいるわね、話が早いと思うわ」


と話し、それを聞いた明帝は


「何時もと言うと彼処だね、確かに話は早い」


と言って通信機を手に取り早速繋ぎ始める、どうやらその通信で呼び出している様だ。

だがその通信に相手が応答する事は無い。


「通信が通じていないようですが……大丈夫なのですか?」


その様子を見たアデルが少し不安げな声を出すが高御は


「大丈夫だよ、これが何時もの彼等だ」


と返答する。


「上司の伝達に反応しないという部分がそもそも不安なのですが……」


だがそれでもアデルの内心にある不安は消えては居ない。

しかしその直後に部屋の扉が開き


「及びでしょうか皆様方?」


と言う声と共に部屋の中に男子二人と女子一人が入ってくる。


「ああ、態々来てくれてありがとう」


神楽が筆頭に立って彼等に声をかけると早速今の状況について説明し始める。


「なるほど、異世界の作戦に参加すると共に現状の装備でどれだけ戦えるのか、そして今後の装備の開発の方向性を探る為のデータ収集を行うというのが任務という訳ですね」


その中の一人がこう返答すると神楽は


「そういう事、頼んで構わないかな、ライト?」


と声をかける。

どうやらその人物こそがライトと呼ばれている人物の様だ。

それを聞いた周囲の二人も


「そういう事なら確かに僕達の出番だね」


と何処か納得した表情を見せる。

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