第三百九話 中東代表が安堵する時

神楽の返答はアデルの質問に対して返答している様にも見えるが、一方で何処かずれているようにも思えるものだった。

それを証明するかの様にアデルが


「つまり、僕達の世界と彼等の世界を自由に行き来出来る様にしておくという事でしょうか?」


とゲートの方をチラチラと見ながら更に問いかけてきたのが証左であるとも言える。

それを聞いた神楽は


「ええ、その通りよ。

万が一の際は彼等に此方に避難してきてもらう事も出来る様にね」


と告げる。

それを聞いたアデルは


「まあ、その辺りの備えは必要ですからね」


と返答し言葉を終えるものの、何か気になる事があるのかその後もチラチラとゲートの方を見ている。

本人は気付かれない様にしているつもりなのかも知れないが周囲から見ると気になっているのは明らかであった。


「それにしても皆さん、ご無事で本当に何よりです。

中東地区の代表からも皆さんが無事で心の底より安堵したという伝言を託されております」


アデルの様子を知ってか知らずか、日本首相がこう話し始める。

すると高御は


「ご心配をお掛けした事はお詫び申し上げます」


と頭を下げる。


「いえ、中東の代表も兵達からの報告を聞き動揺したものの、無事は信じていたという事ですからお気になさらず。

しかし、まさか本当に異なる世界が存在していたとは……」


日本首相は高御に中東代表の心境を代弁する。

その後七宝は


「既に通路の解析は終わっています、その気になれば少なくとも現在用いられている妖術や魔術の通路であれば此方で機器を用いて再現したり、或いは閉じたりする事は可能でしょう」


と通路の解析を既に終えている事を告げる。


「それでは我等の世界の住民が彼等の世界に行く事も出来ると?」

「現状でそれが望ましいとは思えませんが、それが可能かどうかと聞かれれば可能というのが返答となります」


日本首相の問いかけに対し七宝はそれは是であると返答する。


「此方は次の彼等の作戦に参加する人員を選定します、地球の皆さんは今後どうなさるおつもりですか?」


続いて神楽が日本首相に今後の行動について問いかける。

すると日本首相は


「これまで以上に防衛戦力の増強を優先します。

星間連合と異なり異界からの勢力はいつどの様な形で襲撃してくるか検討が付きませんので」


と返答する。


「確かにこれまでのピープルの動きから考えると散発的でも何らかの行動を起こしてくる可能性は十分考えられますね、それに対する備えはしておいた方が良いでしょう」


ミスティはこう言って日本首相の考えを肯定する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る