第三百六話 二つの世界が繋がる時

「ありがとうございます皆さん、これ以上そちらの世界にピープルの驚異を広げさせはしません」


助力を得られた事で安堵したのか、長老はこう告げる。

だがその直後クウォスが


「だが協力すると言っても具体的にどうするんだ?

流石にずっとそっちの世界に居続けるって訳には行かねえだろ」


と現実的な発言を行うと長老の表情が途端に曇る。


「ええ、確かにクウォスの言う通り、ずっとセリアン、スロープ達の世界に居続けるのは現実的な案ではないわね。

現状で考えられる最善の案は……神楽」

「分かっています、直ぐに準備しますね」


ミスティが総発言すると神楽は直ぐに能力を使う仕草を見せ、何かを出現させる。

それは現在それぞれの会話参加者を映し出しているスクリーンが出現した時と同じ赤い渦であった。


「一体何をなさるおつもりですか?」


長老がそう問いかけてくるがその直後にセリアンが


「長老、あれを見て下さい!!」


と言って謁見の間の壁を見る様に指差す。

するとそこにも赤い渦が出現していた。


「皆さん、一体何をなさっているのですか?此方側にも貴方達が出現させた物と同じ渦が出現していますが……」

「ええ、私の力で皆さんの世界と私達の世界を繋ぐ常設通路を出現させているんです」


長老が神楽に何をしているのかを問いかけると神楽はこう返答し、現在双方の世界を繋ぐ通路を出現させていると言う事を告げる。


「通路を出現させる?それは一体どういう目的で……」

「現状私達の世界で皆さんの世界への通路を直接出現させる事が出来るのはかなり人数が限られています。

そして毎回そう都合良くその面々が何時も動けるとは限りません、よって私達の世界と貴方達の世界を常時繋いでいる通路を出しておき、その時々に応じて戦力を投入していくというのが一番現実的な話だと思います」


長老がその行動の意味を問いかけて行くと神楽はこう明快な回答を行う。


「確かにそれが一番得策な方法かも知れませんね、ですがそれで上手くいくかどうかと言う懸念はやはりありますね」


それを聞いた長老はこう話し、現状に懸念を持っている事を告げる。


「では一度このパターンで動いてみた方が良いかも知れませんね。

手始めにピープルに対する反撃の狼煙を上げるのに適している場所等は無いのですか?」

「確かにそうした場所はあります、そして皆さんの助力を得た後はそこに攻め入るつもりでした。

では一度それで動いてみましょう」


ミスティが現状の懸念を払拭する提案を行うと長老もそれを了承する。

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