第三百四話 アデルが考えを説明する時
「アデル様!?それはどういう……」
アデルの発言は予想外の物だったのか、その場に居たアデルの側近が慌てた声を上げる。
「星間連合の動きも気にはなるけど今の所地球に総力を送り込んで来る様な動きは見られない。
そして奴等の考えからすると何の策も無しにいきなり大部隊を送り込んで来るとは考えにくい、逆に言えば策を練っている間は動きを見せてこない可能性が高い」
それに対してアデルが続けた言葉は一見すると側近の兵士の疑問に対する返答にはなっていない様に思える、だがそれを聞いた明帝は
「なるほど、つまり現状では星間連合よりもピープルの方が地球やマルティー本星にとっても大きな脅威となる可能性の方が高い、アデル君はそう考えているんだね」
と話し、それを聞いたアデルは
「ええ、戦力を小出しにしている段階であれば星間連合の迎撃を行うのは十分可能でしょう、それに本星の方についても此方側が全滅した訳では無いので迎撃に梃子摺っている可能性は高いです」
と言葉を続ける。
それに続いたのは
「只、一方で反攻作戦を行うにしても現地の情報が無く、此方から攻勢に出るのも難しい、そういう状況になっているわね」
と言うエリーの言葉であった。
「ええ、現状星間連合との戦闘は膠着状態であり、当面の間は小競り合いが続くと予測しています。
ですがセリアンさんとスロープさんの世界の状況は今のお話を聞く限りより厳しいと思われます」
アデルは更にこう言葉を続ける。
「より厳しい?一体どういう事ですか?」
側近の兵士がアデルに尋ねるとそれに対して
「彼等の世界は既に大部分が制圧され、更に今回の戦闘でも高御さん達が介入しなければそのまま押し切られていた可能性が高い。
下手をすれば全滅していた可能性もあったのでは?」
とアデルは返答と質問を兼ねた発言をする。
それに対して長老は
「そちらの方のおっしゃる通り、我々は皆さんの介入が無ければピープルの手にかかっていた可能性が高いと言うのは認めざるを得ません」
とアデルの考えを肯定せざるを得なかった。
それに対してアデルは
「そうなればピープルは完全に世界を支配下に置くでしょう、そしてそのまま此方の世界にも侵攻してくる。
しかも世界を支配した総戦力を以て」
と恐ろしい上に現実味がある言葉を続ける。
その言葉に対してセリアンは
「ええ、恐らくそうなっていたと思います」
と彼女もアデルの言葉を肯定する。
更にアデルは
「そうなると投入してくる戦力は星間連合の比ではないと思います」
と話す。
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