第三百三話 三つの世界を俯瞰する時

「そちらの方は?初見ですが他の方とは雰囲気が異なる様に感じるのですが」

「アデルさんは異星からの協力者ですよ、ですから雰囲気が違うのは当然だと思います」


長老の側近がアデルの雰囲気に対して質問すると本人よりも先にセリアンが応える。

それは側近の質問に応えると言うよりは早く話を先に勧めて欲しいと言った雰囲気の返答であり、若干の苛立ちがある様にも感じられる。


「そうなのですか、しかしアデルさんの星で生まれた技術にピープルの転移妖術が干渉したと言うのは本当ですか?」

「ええ、少なくとも最初と二回目の登場には明らかに妖術の干渉が認められました。

その後ピープルの異形が出現しました」


長老が問いかけてくるとミスティがこう返答し、更に話を先に進めていこうとする。


「さて、此処までで現在置かれている状況は分かりましたが、今後どう行動していくか、その点が最も重要です。

地球は現在星間連合とピープルの侵攻の危機を抱えている、マルティー本星はまず距離があり此方に対して散発的に送り込んで来る。

セリアンとスロープの世界はピープルの侵攻で大部分が制圧されており、現在二人が居る場所も危機に陥っている、この認識でいいですね」


高御が各世界の現状を整理すると他の参加者にも問いかけ、それを聞かれた他の面々も首を縦に振って頷く。

それはこの状況が間違っていない事を認める事であった。


「そして僕達は高御さん達に協力を要請し、それを受け入れて頂いた事で連合の迎撃には成功しつつある」

「我々も防衛戦力が徐々に備えられつつあります。

それに星間連合やピープルの侵攻もまだまだ全面戦争に突入している訳ではない、勿論このまま侵攻を受け続けたら不味いかも知れませんが、現状直ぐに崩壊するという事は無いでしょう」

「我々の現状は今回皆さんの協力もあって押し返す事が出来ました、しかしこのままでは又程無く侵攻を受けてしまうでしょう。

その為に高御さん達に協力を要請したいのですが、やはり難しいのでしょうか?」


それぞれの立場から高御達との関係をおさらいした後、長老は改めて高御達に協力を要請するが、その顔は懸案や悲観が漂うものであった。

だがそこに思わぬ声が入ってくる。

その声とは


「今の長老さんのお話についてですが、少し私見を述べさせて頂いて宜しいでしょうか?」


と言うアデルの声であった。


「構わないよ」


高御にそう告げるとアデルは


「あくまでも現時点の話ですが、今のお話を纏めると高御さん達には長老さんの申し出を受けて頂きたいと思います」


と告げる。

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