第二百二十九話 戦場に分散する時

「加勢すると言っても……今の炎は貴方達が出したのですか?」

「ええ、頓には信じがたいかも知れませんが……それを証明する丁度良い標的が来ましたよ」


一同が会話をしている間にもピープルが接近してくる。

それを確認したミスティは


「ウォーター・アロー!!」


と言って目の前に水の矢を次々と出現させて接近してくるピープルを射抜いていく。

その光景を目の当たりにした獣人は


「原理は良く分かりませんが、貴方達に戦う力があるという事、そしてセリアンとスロープと共にこの場所に来て下さった事は分かりました。

本来なら我々が皆さんを歓迎しなければならないのでしょうが……」

「細かい事はこの戦闘が終わってからです!!今は戦闘に集中を」

「そうですな……ではお力添えに感謝します。

各員、突如として現れた協力者が何者なのかは不明だが彼等は敵ではない!!そのお力添えを得て連携を取りつつピープルを迎撃せよ」


と高御と会話を交わし、その場に居た獣人達に協力しピープルと戦う事を告げる。

その物言いからその獣人が全体の指揮官の様だ。


「さて、大見得を切った以上醜態を晒す訳には行かないよ」

「ええ、敵戦力は広範囲に分散している、これは思った以上に乱戦になるわね」


高御とミスティが戦況を分析した直後、七宝の手元に一つの大型銃が落ちてくる。

そしてそれを七宝は何の躊躇いもなく手に取る。


「神楽、これは……」

「この状況では適材適所的に武器を召喚するという訳にはいきそうにないからね。

七宝には悪いけど自衛くらいはしてもらわないと」

「いいえ、その心配は無用よ。

私も前線に出るから、この状況では戦う力は少しでも多い方が良いでしょう?」

「そうだね……というより七宝は言い出したら聞くタイプじゃないけど」


その武装は神楽が出現させた物の様で手にした瞬間に七宝はこう呟く。

それに対して神楽は少し誂う様な返しをするもののその表情はふざけているという雰囲気ではない。

寧ろ少し肩の力を抜きたいと自分自身に対して向けているとも取れる。


「さて、行くよみんな!!くれぐれも獣人達を巻き込まないようにね」


高御がそう号令をかけると神楽達は戦場となっている平原各地に散会していく。

その光景を見たセリアンとスロープは


「俺達も黙って見てる訳には行かねえ!!」


と言って移動しようとするがその背後の獣人は


「待て!!お前達は……」


と二人に声をかける。


「止めても無駄ですよ長老!!私達だって……」

「違う、そうではない」


セリアンが反論しようとすると長老は二人を止めようとしているのではないと告げる。

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