第二八十八話 獣人達に加勢する時

だが二人は神楽の声に全く反応せずただ目の前を見続ける。


「一体どうした……これは!?」


二人が反応しない事に対して神楽はその視線の先に目を向けるがそれを見て神楽も又言葉を失う。

その目の前にはピープルの異形と何者かが交戦しているのが見えてきたからだ。


「前方で交戦しているのは一方はピープルの異形、もう一方は見た目から考えるとセリアンとスロープの同志なの?」

「ええ、しかもそれだけではありません、あそこで交戦しているのは……私達の村に在住している住民です……」

「つまり、あの獣人達は君達の村の……と言う事はこの交戦は」

「ああ、ピープルがセリアンとスロープの村に対して侵攻していると言う事だね」


目の前の光景を見た事で事情を察したのか、七宝の言葉を皮切りにセリアンとスロープも言葉を発し始める。


「あのピープルの数から考えると恐らく本腰を入れて制圧するつもりね……あの部隊を食い止めるだけの戦力が二人の村に居るの?」

「いえ、そこまでの戦力どころか今まで何とか攻撃をやり過ごしてきましたので此処を食い止められてるのが……」


ミスティがセリアンに問いかけるとセリアンは明らかに動揺した声を上げる。


「くっ、このままじゃ俺達の村が……くそっ、こうしちゃ居られねえ!!」

「だとするとこの状況で僕達が取るべき行動は一つだね」


スロープとセリアンが急いで崖下に下っていき、そのまま戦場へと走っていく。

そしてそのまま獣人達に接近している異形に対して


「魔術開放……大地の刃!!」


とセリアンが叫ぶと地面から刃を象った土が出現し、それが異形をに当たると次々と切り裂いていく。

その鋤をついてスロープも接近し


「それ以上近付くんじゃねえ!!」


と言いながら接近してくる異形を殴り飛ばしていく。


「その声……それにその能力、お前達、セリアンとスロープか?」

「ええ」

「今まで一体何処に……後で色々話してもらうぞ」

「……分かってるよ」


セリアンとスロープが駆けつけた直後、それによって救われた獣人は二人にこう告げる。


「二人共、敵はまだまだ居るんだよ!!」


その声が響くと同時にその言葉通り異形がその直後に飛びかかってくる。


「つっ、浄化の炎!!」


そう叫ぶ神楽の声と共に炎が放たれ、接近してきた異形を焼き払う。

その直後に高御達もセリアンとスロープの元に駆け寄ってくる。


「貴方達は……」

「今詳しい説明をしている時間はありませんが、僕達は皆さんの敵ではありません。

加勢します!!」


駆け寄った高御は獣人達にこう告げる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る