第二百八十七話 異世界に辿り着く時

だが、一同の予想に対し迎撃する対象である異形、ピープルは出てこない。


「次の敵が出てこないわね、この通路を既に見限ったのか、それとも……」

「とにかく、この通路の先に出てみましょう!!何処につながっているのかは分からないけど何時までも此処に居る訳には行かないわ」


ミスティが敵の迎撃が無い事を不審がる一方、七宝は通路の先に向かう事を提案する。


「そうですね、私達の世界に繋がっているのか、それとも皆さんの世界に繋がるのかは分かりませんが此処に居る訳には行かないのは事実です」


セリアンもこう告げ、七宝の提案に同意する。

そしてそのまま通路内を泳ぐ様に動き、その先に向かっていく。


「見えました、あそこが出口です!!」


そう告げるとセリアンは先に見える光の部分に指差す。


「セリアン、行くぞ!!俺達が先に行かねえと皆さんを危険に晒す事になるからな!!」


スロープがこう大声で叫ぶとセリアンは黙って首を縦に振って頷き、一同の前に移動する。

そしてそのまま先に進んでいくとそのまま光を潜って外に出る。

そこは周囲に殆ど遮る物が無い平原の様な場所であった。


「ここは……僕達の世界では無さそうだけど……」

「確かに、私達の世界にこの様な地形の場所は存在していないわ。

勿論私達が知らないだけで何処かに存在しているのかも知れないけど」


高御とミスティが周辺の光景からそこが自分達の世界ではないのではないかと推測する。

それを確信へと変えたのはその直後の


「なあセリアン、ここって……」


と言うスロープの発言であった。


「ええ、多分そうだと思う」


その発言を聞いたセリアンもこう反応し、一同の中にあった予感は確信に変わる。


「皆さん、既にお気付きだとは思いますが、此処は私達の世界です。

しかもこの場所は恐らく……」


そうセリアンが説明を初めた直後、近くから


「ドォン!!」


と言う大きな爆発音が聞こえてくる。


「爆発音!?一体何が……」


七宝がそう言いながら周囲を見渡すとセリアンとスロープは


「今の音の方向、まさか!?」


そう言いながら何処かへと駆け出して行く。


「二人共どうしたの!?」


ミスティがそう呼びかけるがセリアンとスロープはその声が届いていないのか足を止める事は無い。


「仕方ない、彼等を追うよ!!」


高御がそう叫ぶと一同もそれに合わせて駆け出していく。

そしてセリアンとスロープが足を止めるとそこは周囲より明らかに高い丘の上であった。


「君達、一体どうしたんだ……」


後から追いついた神楽は二人にこう声をかける。

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