第二百八十二話 中東森林に向かう時

「分かりました、ですが僕達が多すぎても混乱を招く可能性もありますね。

そこで今回は僕とミスティ、そして神楽と七宝で向かう事にします」


高御はさらっとこう告げると中東地域の代表は明らかに困惑した表情を見せる。


「しかし、貴方は仮にも組織のトップでは?」

「トップだからといって出撃しないという理由にはならないでしょう?」

「それはそうですが……」

「それとも僕が向かっては不都合な事でもあるのですか?」


困惑した口調で問いかけてくる中東地域の代表に対し高御はあっさりとこう言ってのける。

それに対して中東地域の代表は


「わ、分かりました……では此方からもそれなりの部隊を……」


と何処か緊張を感じさせる発言をすると


「いえ、僕達と同様に少数精鋭にして頂けませんか?

密林である以上必要以上に大人数で向かってしまっては却って機動性が鈍ります」


と高御が現実的な発言をする。

それを聞いた中東地域の代表は


「わ、分かりました……では現地の地理に詳しい面々を編成します」


と告げて通信を切る。


「大丈夫なのですか?自ら赴くと発言して」

「ああ、明らかに僕達にも部隊を派遣して欲しいという意図があるからね。

そこで上層部が動くとなれば自分達の方もそれなりの戦力を投入しなければならないからね」

「彼等は僕達に問題を押し付けるつもりだと?」

「いや、そこまでは言わないよ、只此方に完全に依存されても困るからね」


エリーが高い親御に対してこう問いかけると高御はサラッとこう返答する。

しかしエリーの問いかけの内容を考えるとどうやら高御がこう言い出すのは今に始まった事では無い様だ。


「で、セリアン君、スロープ君、一応聞いておくけど……」


こう高御が問いかけ始めるとスロープは


「聞かれるまでもない、俺達も同行するぜ」

「元の世界に戻る事が出来るかも知れませんからね」


とセリアン共々返答する。


「その手助けをする為に僕と七宝も同行すると言う訳ですね」


神楽がこう問いかけると高御は首を縦に振って頷く。


「さて、僕達が不在の間の指揮はお願いするね」

「ええ、私達にお任せ下さい」


高御がこう告げると他の面々は一斉にこう返答して会釈する。


「じゃ、転移通路を開きますね」


神楽がそう告げ、早々に転移通路を開くとその中を潜って高御、ミスティ、神楽、七宝、セリアン、スロープが移動していく。

そして移動した先は件の密林から最も近い街であった。

そこには既に手配されたと思われる部隊が待機しており、一同を視認すると近付いてくる。

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