第二百七十八話 手柄を焦る時
「構いません、本星の皆が無事であると言う事実が分かっただけでも嬉しい事ですから」
「そうですね、我々が此方に来てからある程度月日が経ち、心配になっていた所ですから」
アデルが安堵の表情を浮かべると側近の兵士も言葉を続ける。
だがその直後アデルは
「ですが本星の制圧も上手く行っていない状況でどうしてエンブレム塗装の部隊が侵攻してきたのでしょうか?自分が言う事では無いかも知れませんが、まずは足場を固めるのが先決では?」
と今回の動きに対する不可解な部分について口にする。
それを聞いたエリーは
「それについてなんだけど、どうやらそれによって立場が危うくなってきたから地球に侵攻して手柄を立てたいって目的もあったみたい。
最も星間連合の上層が現状の地球に侵攻する危険性を把握していないとは思えないから、単に捨て駒にされたのか、それとも何か他の目的があるのか」
高説明し、男の心理を無事解析した事を知らしめる。
「そこまではこの男からは分からないって事だね」
エリーの発言に曖昧な部分があった事を聞いた神楽はその部分に反応を見せる。
「ええ、この男はエンブレム塗装の中でも下の方、上層の上層に迫る事が出来ればもっと詳細な情報を得る事が出来るのでしょうけど」
「そのレベルとなると引っ張ってくるのもそう簡単では無いんだろうね、少なくとも地球に潜伏している偵察員を全て拘束するまでは誘い出すのは難しそうだ」
「?それはどういう意味ですか?」
エリーと神楽がこう会話を行うと側近の兵士は疑問を問いかける。
「偵察員は何らかの方法で星間連合に通信を送っている筈だろうからね、それを何とかして止めない限り此方側の状況が漏れる。
危険な場所に重要な戦力を敢えて送り込むのは相応の準備や対価が必要になる」
「そうね、そう考えると恐らく次に投入してくるのはこれまで通りの部隊の投入か、或いはそれ以上の何かを仕掛けてくる為の下準備。
仮にもエンブレム塗装の部隊を送り込んで失敗した以上安易に重要な戦力を送り込むとは思えないわ」
「そうだとすると、今は無事である本星の面々の安全も危うくなりますね……」
「ええ、だからこそ本星との連絡手段の構築を急ぐ必要がある」
「ええ、そんな時間の無い時に僕達の用事に付き合わせてしまって申し訳ございません」
「構わないわ、此方としても星間連合の今後の出方を伺う事が出来たし」
「ああ、異形、否ピープルに対する備えの準備の為にも僕達はそろそろ戻るよ」
エリーと神楽はそう告げるとその場を後にしていく。
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