第二百七十九話 地球が振り返るとき
エリーと神楽が去った後、再び男性の方に目をやったアデルは
「此奴はどこまでも此奴なんだな……」
と吐き捨てる様に口にする。
その喋り方はやはり怒り、軽蔑、そういった感情が込もった物で有る事は容易に想像出来た。
そう言い放った後、アデル達も引き返していく。
一方その頃地球側に置いても
「そうか、今回も彼等に助けられたか……」
「ええ、しかも敵の新型を物ともせずそれを鹵獲、パイロットを拘束する事に成功していました」
「此方も負けていられないな、その鹵獲した機体のデータを此方にも回して貰えるよう交渉出来ないか?」
「戦闘を終えて直ぐですから今は難しいかも知れませんね、何しろ彼等自身が解析する時間が必要でしょうから」
「そうだな、交渉だけは勧めるがデータの入手はもう少し先になるか」
「此方側でも機体を鹵獲出来れば先に調査する事も可能なのでしょうけど……」
「そうだな、それを専門にする部隊の育成を行った方が良いかも知れないな」
と今回の作戦の振り返りが行われており、その中で鹵獲を専門とする部隊の育成が提案される。
「そうだな、何時までも彼等に頼り切っている訳には行かない」
「それが可能な独自の兵器を開発出来れば良いのですが、現状解析だけでも何年かかるか……」
その場に居たデトロイト州代表はその提案を採用するが、技術者らしき人物はそこに非現実的な部分がある事を告げる。
「当面は彼等から借りた兵器で出来る範囲で訓練し得意とする人物を選定する他無いだろうな。
此方にとっては全く未知の技術だ、それを上手く活用出来れば最早文明にとっても大きな助けとなるだろう」
「ええ、分かっています。
故に昼夜を問わず交代で研究にあたっています」
「技術といえば彼等が各地に設置した星間連合の潜伏員を焙り出すゲート、それにかかった潜伏員はまだ見つからないのですか?」
技術についての話題が切り出される中、兵士の一人が神楽が以前設置したゲートについての質問を投げかける。
するとデトロイト州代表は
「既に反応は幾つも見られている、そしてそのエリアは中東、欧州に集中していることも」
と返答する。
「中東と欧州に?しかしそんな情報は……」
「ああ、混乱を避ける為にまだ出していない」
「何しろそれと前後する形で星間連合や例の異形の襲撃が行われているからな、万が一混乱を増してそこを付け込まれるような事になれば本末転倒だ。
この件は彼等にも伝えている」
兵士が更に疑問を投げかけると代表はこう返答する。
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