第二百七十五話 エリーと神楽が合流する時

「君達はこいつを監視しておいて、僕は……」

「その必要は無いわよ、私から来てあげたから」


兵士に男性の見張りを頼み、アデルがその場から離れようとするとそこにエリーと神楽がその姿を表す。


「エリーさんに神楽さん……何時の間に此方に?」

「今来た所よ、何か盛り上がっているし大声で叫んでいるしで来てみたらこんな事になって立って訳」

「で、君達とさっきから詰り合っているその男性は?

今回の作戦で拘束した兵士だというのは分かるけどそれを何故君達だけで尋問しようとしたのか?

色々聞きたい事が出てくる話だよ」


その場に現れたエリーと神楽はこう問いかける。


「ええ、今回の作戦で交戦し身柄を拘束した兵士です。

僕達だけで尋問しようとしたのは……」


アデルはそう話しかけて言葉に詰まる様子を見せる。

その様子は明らかに何か言いたげな、その一方で言いたくない様なそんな複雑な印象であった。

その表情から察したのか、エリーは


「言いたくないなら言わなくていいわよ、知りたいと思ったら私の力で調べるから。

最も、流石に協力者に対して勝手に調べたりはしないけど。

もし話したくなったなら話してくれて構わないわよ」


と返答する。

それを聞いたアデルは何処か安堵した表情を浮かべる。


「おい!!てめえらが俺達の邪魔をさんざんしやがってる連中か!!」


牢獄の中の男性がこう大声を出すとエリーは


「上層部の側近と思える存在にしては全く品性が感じられ無いわね。

貴方は一体何者なの?」


と男性に問いかける。

それに対して男性は


「俺がそれを口にすると思うのか!!」


と強い口調でエリーを威圧する様に大声を出す、しかしエリーがそれで怯む事はない。

最も先程の会話を聞いていればエリーが何か特殊な能力を持っているのは分かりそうなものだが。

それを知っているアデル達は平然としている。

男性の大声は牢屋の中で虚しく響くだけになっている。


「さて、アデル君は元々私やミスティ様、高御様を読んでこの品性の無い男の事を調べろって訳ね」

「ええ、可能であれば僕達で尋問しようと思ったのですが、何分このままでは時間がかかりそうでしたので……」


エリーがアデルに対し元々自分を呼ぶつもりであった事やその理由を問いかけるとアデルはその理由が当たっていると告げるものの、やはりその最後は何処か歯切れが悪い。

余程この男性となにか悪い部分があるのだろうか?


「分かったわ、私の力で調べてみる」

「念の為自分も待機するよ」


エリーがそれを了承すると神楽も同行する事を告げる。

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