第二百七十四話 拘束とアデルの会話を聞く時

「く……ううっ……」


気を失っていた男性が目を覚ましたのかふとこう呻き声を上げながら腕を床に着いて立ち上がろうとする。


「どうやら気が付いた様だね」


その男性に対しアデルはこう話しかける。

その声はやはり嫌悪感、怒りと言った感情が満ちており明らかに何時ものアデルとは違っている。


「ちっ……どうやら身柄を拘束されちまった様だな……」


その男性も又、アデルに対して明らかに敵意に満ちた視線を向ける。


「その言動、相変わらずだね」

「ちっ、お前には言われたくねえな、あの方を裏切ったお前には!!」

「裏切る?そもそも僕は連合への加入には猛反対の立場だ、それを無理やり押し切って戦乱を起こしてそして……」


男性に明らかに怒りを秘めた目と声で話しかけるアデルに対し男性も同じく怒りを秘めた声で反論しようとするがそれに対してアデルは更に怒りの声をぶつける。

怒りと怒りのぶつかり合いであり、格子越しでなければ明らかに一触即発といえる雰囲気である。


「お前が裏切らなければ俺達の計画はもっとスムーズに進んでいた物を……」

「お前としょうもない御託の並べ合いをするつもりは無い!!即刻提供してもらうよ、お前達が現時点で得ている情報を」


男性がアデルに対し食ってかかろうとするが、アデルはそれに対して明確に言葉を遮り、且つ情報を提供するように迫る。


「へっ、俺がお前の言葉に従うとでも思ってんのかよ?」

「否、元から思っていない。

お前は昔から卑劣、卑怯な手段を講じて出世しようとし、それを繰り返して今の地位に付いた。

しかもその為に僕も利用しようとした」

「ええ、我々も協力して阻止しなければ本星はもっと悲惨な事でしょう」

「そんな奴がみすみす情報を提供するとでも思ってんのか?」


双方の言葉は粗お互いの詰り合いに終止しており、このままでは埒が明かないと言った印象だ。


「やはりこの男から情報を聞き出すのは難しい様ですね」

「仕方無い、僕達の因縁に巻き込んでしまうのは忍びないけど高御さん達に協力を要請しよう」

「へっ、俺が協力者を呼んだ位で協力するとでも……」

「ああ、思ってないよ、だけどそんな事はもう意味をなさない!!」


アデルはこう大声を出し、男性に対して啖呵を切る。

その発言に対して男性は一瞬怯むが直ぐに余裕を見せた表情に戻る。


「ちっ、大声で叫んでくれるぜ、今にここから脱出して……」

「それが出来たとしてもその時お前は終わりだよ!!」


やはり男性とアデルの会話は終始この調子になる、果たしてこの二人に何があったのだろうか?

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