第二百二十話 様々な場所で話し合う時

「これまでは異界からの干渉により転移が生じてきた、だが今回は我らの能力だけでも異界への転移を発生させる事が出来た。

これが意味する物はその異界も侵攻せよと言う事なのか……」

「そうかも知れませんし、或いはこの世界よりも先に異界を手中に収めよというお告げなのかも知れませんね。

何れにせよその異界との交わりは我らにとって最早避けては通れぬ話となるでしょう。

現に我等と敵対するレジスタンスの構成員も今回は同時に転移しております故」

「そのレジスタンスとの交戦中に突如として通路が開いたというのが何とも解せぬ。

一体何故あの様な形で通路が開いたのか……」

「我等が開いたのでは無いとすると配下が独断で開いたのでしょうか?」

「あの施設に通路を開く事が出来る兵士は配置しておらぬ、兵士が独自にそれを出来るようになったという可能性も無い事は無いが、そうだとしてもあのタイミングでそれをする必要は何処にある?」

「確かにその通りですね、では此方でも引き続き調査を続けてまいります」

「頼むぞ、あの施設は規模は小さいが今後の侵攻の足掛かりとなるのだからな」


この様な会話が延々と行われており、セリアン達の世界とESBの世界が確実に交わる方向に向かいつつあるのは明らかであった。

此処で話はESBの世界に戻る。


「彼等からの要請は?」

「協力者達からの情報により、異形が明確に敵である事が証明された為それと交戦する準備を整えて欲しいと言う事です。

無論必要な武装については提供するとも」

「兵器の訓練だけでも時間がかかるというのにそちらも並行して行わなければならないとは」

「仕方ありません、彼等だけに頼っている訳にはいかないのです。

彼等も特撮番組の英雄ではありません、何時でも都合良く来てくれると言う訳では無いのです」


こう話しているのは直接対面している各国の代表者である、だがそこに高御を始めとするESBの姿は無い、どうやら代表者だけが集まって会談を行っている様だ。


「彼等から提供された技術の解析や転用の目処は立ったのですか?」

「今の所全くと行って良い程立っていませんね、そもそもどの様にすればあの様な物が作り出せるのか、まずそこが知りたくなるレベルです」

「しかし一方でその実用性は確かであり、民間人にも扱う事は出来る。

ブラックボックスに頼るのは危険ですが現状ではやむを得ませんね」

「そのブラックボックスに光が当たるのは何時の事やら」

「その様な他人行儀な発言は彼等に見せられませんよ」


代表達は言葉を交わし合うが、日本首相が不意に口にした発言に英国代表は釘を刺す。

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