第百八十三話 新型のデータを収集する時

「うん、あの動きは……だけど今それを来にしている余裕は無いよ」

「ああ、そろそろ俺達も向かう必要があるぜ」


テテルに続きクリンもこう告げる辺り、単なる一人の取り越し苦労という訳ではないようだ、その直後にレモンが発した一言により彼等も行動を開始する。

一方西欧部隊はと言うと徐々に星間連合を押し返しつつあるものの、ワープゲートから出てくる増援と新型機の前に足踏み状態になっていた。


「ちっ、あのゲートから出てくる増援を何とかしねえと……それにあの新型も厄介だな……」

「新型機に対して攻撃は被弾させていますがその何れも他の機体程のダメージは与えられていません。

耐えて反撃してきています」

「となるとあの兵器の装甲が他よりも強固になっている、そう考えてまず間違いありませんね」


該当の敵の新型機からの反撃を回避しながら西欧部隊の兵士はこう新型機を分析する。

その発言を受けた隊長が近くにあった機器を操作し始め、それからほんの数十秒後に


「分析結果が出たわ、確かにその通りよ。

あの兵器は他の機体より強固な装甲を持っている、そして高い火力もね」


と告げる。

その様子を見たレモンが


「今の解析の速さ……どうやらあれを使ったみたいだな」


と呟くとグレープは


「うん、敵の新型機が出てきた際には情報収集、これもセオリーではあるね」


と返答しそこにテテルも


「一応此方でも分析しておいたけど確かに西欧部隊の隊長さんが言うようにあの機体は走行と火力を重視して開発されているようね。

だとすれば逆に機動性は犠牲にしている可能性が高い、そこを上手く突いていきたいわ」


と続ける。

するとその新型はその重装甲と火力を見せつけるつもりなのか西欧部隊に対して大型のビームキャノンを放ってくる。


「くっ、あの出力で直撃を受ける訳には……」


西欧部隊の兵士はそう言うと兵器から放たれたビームキャノンを回避するものの、その鋤を突かれたのか他の異性連合の兵器から集中攻撃を受けてしまう。


「つっ、これでは動きが……」


兵士の声から若干の焦燥感が生まれるがそこに


「いや、そのままを維持してくれれば問題ねえ。

後十秒キープ出来るか!?」


と言うレモンの声が聞こえてくる。


「え……ええ、可能ですが……」


西欧部隊の兵士がそう告げると


「よし分かった!!」


とレモンが返答する。


「一体何を……いや、今はそれよりも眼前の攻撃を……」


レモンの言動に対し兵士は疑問を抱くものの、現状ではそれを思考している余裕はなく敵の攻撃を回避する事に気持ちを切り替える。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る