第百七十二話 高御が加わる時

「皆様は現状あの異形に対してどの様な認識をされているのですか?」

「そうか、あの異形について貴方達にはまだ存在しか話していなかったわね」


友香からの問いかけに対し神楽が説明しようとするとそこに


「別世界で生み出された戦争の為の生体兵器、それが現時点における僕達の推測だよ」


と言う声と共に高御が現れる。


「高御様?何時此処に……」

「偶近くを通りかかっただけだよ、そしたらあの異形が又出現したって言う話が聞こえてきたからこれは早く話を聞いておいた方が良いと思って話しかけて貰ったよ」


亜矢が問いかけると高御は高返答するものの、その発言は何処かはぐらかしている様にも思える。


「さて、今回異形が出現したのは日本、しかも避難所として用意された建物の近く。

恐らく近い内に首相から説明を求められるだろうね」

「ええ、それは致し方ないでしょうね。

あの異形については現状判明している事が少なすぎます、此方側でそうなのであれば首相に説明し、その旨を知って貰わなければ民間人の混乱は拡大してしまうでしょう」

「ええ、ですが悪い話ばかりでも無いかも知れません、今回避難所近くに居た民間人に異形が襲いかかろうとしたのですが、その際此方が配布した武装を使って抵抗してくれました」


高御と神楽が今後の対応に苦慮しそうになる中、亜矢はこう発言する。


「異形が民間人に襲いかかろうとした?」

「ええ、勿論みすみすそんな事をさせるつもりはありませんが異形はいきなり飛びかかり始めました。

それに対し民間人が配布された武装を使用、その結果異形を怯ませ足を止める事に成功、これにより武装の有用性が証明されたと言えます」

「可能であれば証明される事無く戦乱が終わって欲しかったけどね……」

「ですがこれにより武装の有用性と自衛の重要性が証明されたと言えると思います」

「確かに日本は今までこうした経験が乏しいですからね……ですがこれから先はそうも言っていられません、自衛の為の経験も積んでいってもらわなければ」

「今回の一件がそれに対する呼び水になってくれるのではないか、そうなってくれればせめてもの救いになります」


一同が今回の一件について様々な意見を述べるが、肝心要の部分については触れられて居ない様にも思えてくる。

それを察したのか高御は


「あの異形について捕らえた奴を更に続けて調査していくよ、此方に危害を加えるものであると言う事が明確になった以上、何処から来ているのかについても調べる必要があるね」


と話を異形についてに戻す。

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