第百六十一話 今回の一件を話す時
「了解しました、僕達も直ちに帰還します」
青はそう告げるとミルファ、アビルの方へと向き直り、二人も顔を見合わせて首を縦に振る。
「各国に配布して頂いた物資につきましては私達が責任を持って国民に配布致します、流石に機体を動かす事は出来ないにしても我々にもその位は出来ますから」
西欧代表はエリーに、そして通信機越しの青達に対してこう発言し、他の代表者達もその表情から同意している事が伺える。
「ありがとうございます、では私達は帰還致します」
西欧代表の声に対するエリーの返答は安心感に満ちたものであった、それだけ西欧代表の思いも落ち着いたものであるという事なのか、それとも……
「では何時までも此処に居る訳には行きませんね、私達も地上に戻りましょう」
日本首相がそう告げると各国代表者はエリーに対し一礼すると背を向けて戦艦の出入り口へと向かっていく。
それを笑顔で見届けたエリーは直様モニターに顔を向け直す。
そして地上に各国代表が辿り着いた事を確認するとエリーもブリッジに向かっていく。
「さて、私達も急がなければならないわね」
ブリッジに辿り着き、目の前の機器を操作したエリーはそう告げると手元の機器を操作して戦艦の目の前に転移通路を発生させる。
そして戦艦はそれを潜っていき、本部へと戻るのであった。
帰還したエリーは早々に謁見の間を目指していく。
するとそこには既に青達や神楽達、更にアデル達も集まっていた。
「ごめんなさい、遅くなったわね」
「仕方ないさ、それよりも今回の一件について話す事が重要なんだから」
遅れた事を申し訳なく告げるエリーに対し高御はこう告げると早速本題に入る事を告げる。
「今回の動きで投入された兵器はこれまで交戦した事は無いもののアデル君達が持ち出してくれたデータにも記録が有る上に性能もこれまで交戦した兵器より低く、明らかに型落ち品であると推測されます」
「そんな兵器を何故送り込んできたのか……ワープゲートの精度を調べるにしても戦力の選別が杜撰過ぎる。
アデル君達はどう思う?」
「これまでの奴等の動きからすると全く以て不合理とした言い様がありません。
少なくともマルティー本星において今回の様な動きを確認した事は一例も確認出来ません」
「となると動きを変えてきたのか、それとも何か内部で不測の事態が起こったのか……」
「不測の事態?」
「ああ、地球への侵攻の遅れから内部に焦燥感が生まれているのかも知れない」
七宝のデータ分析とアデルの発言から今回の一件は明らかに異質である事が分かる。
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