第百四十九話 ゲートが閉じられる時

「やはり此方の部隊を迎撃してきたあの戦力についてどうにかせねばならんか」

「既にあの小僧達と接触したのであれば尚の事、あの迎撃戦力への対処を行わなければ何れ此方にも反抗してくるかもしれぬ」

「各地の抵抗勢力が未だに抵抗を止めぬ理由もそう考えれば納得がいくな。

先に本星の抵抗勢力を叩くべきか」

「いや、それを行った結果抵抗に合い此方のワープ装置を破損させられる可能性もある。

何しろワープ装置の場所は奴等にも知られているのだからな」

「予備や量産技術を奴等に盗み出されたのがここに来て痛手になるとは……奴等の抵抗が激しくなってきたのも頷けるな」

「此方側の偵察員を送り込んだ場所を先に制圧したのが裏目に出ているか……」


この二人の会話からマルティー本星の現在の状況の断片が見えてくる。


「で、次の戦力は何時送り込むのです?」

「自爆による大打撃が失敗した以上、奴等もこちらに対して警戒心を強めている筈だ。

少しの間は戦力を送り込まず様子を見る方が良いだろうな、それに今回の一間で生じた問題はもう一つ有る」

「戦艦に搭載したワープゲートの機能不全ですか、技術のテストで問題は生じていませんでしたが、まさかあの様な存在が出現するとは」

「此方側の技術の問題ではなくあの存在が出現した世界の技術の問題なのかもしれぬが、何れにしても放置出来る存在ではない。

文献にもデータベースにも存在が確認出来ない以上、手探りで調査し対策を講じる必要があるだろう」

「此方側の兵に危害を加えた以上敵と認識する他ありませんからね、その点も徹底的に調査させています」


この会話により既に地球での一連の流れはこの二人も把握している事が分かる。


「さて、此方側の戦力も整える必要があるな、暫くはワープゲートを閉じておく」

「閉じるのですか?しかし……」

「万が一あの存在が開いているゲートから此処に出現した場合どうするつもりだ?それに閉じている間に改修を加え展開への時間を短縮し精度を向上させる。

地球に向かった際に常に此方の想定と異なる場所に出現しているのが此方側の問題なのかが判明するだろうからな」

「……承知致しました」


マルティー本星で行われていた会話からすると既に異形の存在も把握されており、それはマルティー側の戦力ではない事が改めて判明する。

そのままこの両者の会話は終わる。

それと時を同じくして又別の場所、全く未知なる場所において


「転移通路の移動中に消失か……何があった?」


と言う声を漏らす何者かが存在していた。

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