第百四十四話 もう一つの驚異を話す時

アデル達はそう告げるとそのまま高御達に背を向け、謁見の間の出入り口から外に出て行こうとする。

だがその直後に七宝が


「待ってアデル君、偵察員の行動でつい脇道にそれてしまったけど今日の議題はそれだけじゃない。

もう一つ、高御様が拘束した異形についての情報が残ってる」


とアデル達を呼び止める。


「あ……確かに失念していました」


七宝に呼び止められ、アデルは思わずその足を止める。

更に他の面々も困惑した表情を浮かべている辺り、どうやら完全に失念していたようだ。


「そう言われればそうだったわね、で、態々呼び止めると言う事はそれだけの情報は得られたと言う事なの?」

「少なくともある程度は得られたと思っています。

それに仮にそこまでではなかったとしてもあの異形が異星連合が開けたワープゲートから突如として出現した以上少なくともその情報は知っておいて頂きたいのです」

「次いつあの異形が出現するか分からないからですか?」

「ええ、万が一潜伏して居る別の偵察員がワープゲートを開き、そこから次の異形が出現して市街地が混乱した等という事になればそれこそ地球は泣きっ面に蜂状態となります」


ミスティの発言を皮切りに七宝が話し始め、それにアデルが反応すると最も懸念している問題内容を告げる。


「確かにそうなると深刻な被害が出るな。

只でさえ自爆で市街地が被害を受け、更に民間人の間にも怒りや恐怖が渦巻いている。

そこに新たな敵が出現したとなれば下手をすれば自滅しかねない」


クウォスが高発現するとパウも


「確かにクウォスの言う通り現在の状況で敵が出現すると大問題になるわね、それを防止する手段を投じなければ」


と言葉を続ける。


「では聞かせてくれるかな?あの異形が一体どの様な存在なのかから?」


高御がそう告げると七宝は


「ええ、調べてみた結果、やはりあの異形はこの世界の生命ではありません。

体内を構成している遺伝子情報はこの世界の、いえ、マルティー人のデータの情報も照合してみましたがそれも含めて該当する遺伝子は存在していません。

これを前提としてお話を聞いて頂けますか?」


と話を切り出す。

それに対してアデルが


「マルティー側のデータにも存在していないのであれば僕達も聞いておく必要がありますね。

続けて下さい」


と話を続ける様に促すと七宝は


「まずあの異形の遺伝子構造から考えるとその存在は初めから戦う為だけに生み出された存在、そう考えてまず間違いないです」


と早々に衝撃的な発言を行う。

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