第百四十二話 首脳の決意を聞く時

「聴いて頂きたいと言うのは?」


ミスティが問いかけると日本首相は


「既にご存知、或いはお察しかも知れませんが今回の一件により各国の民達の間に動揺、混乱、そして怒りが広がっています」


と話を切り出す。


「ええ、確かにそうなってしまうでしょうね。

死傷者も出てしまっている以上は大切な人を奪われた方もおられるでしょうし」

「皆さんのおっしゃった通りに我々が詳細を説明した事、皆さんが救助チームを派遣して下さった事で何とか怒りが暴発する事態は避けられています。

ですがこのまま怒りが吹き溜まってしまったら……」

「それが何時暴発しさらなる混乱を招く可能性も無きにしもあらず……って事か」


エリー、米国大統領、クウォスがこう言葉を続けていくと


「ええ、我が方においても同様の事案が発生しております」

「それに現状では異星連合の出方次第で更に犠牲が出てしまう事も考えられます。

勿論皆さんがそれをみすみす見逃すと言う事は無いのは重々承知の上です、ですがそれだけで抑えきれなくなってしまう可能性もあります」

「その点も踏まえて私達は先程の通信の後に相談し、そして決断したのです」

「決断?一体何を?」


他の国の首脳達も言葉を続け、その直後に何か決断したと告げる。

その決断の意味を神楽が神楽が問いかけると各国の代表者は


「皆さんの戦力である機動兵器や武装、それを我々の軍隊、いえ全員とはいえないまでも民達にも提供して頂きたいのです!!」


と声を揃えて告げる。


「戦力を提供して欲しい……と言う事はつまり、皆さん自身の力で戦うと言う事ですか?」

「ええ、此方から仕掛ける訳では有りませんが自衛する力を得ておきたいのです。

そうであれば、いざという時自分達を守る力があれば少なくともそれぞれの感情が暴発してしまう可能性は大きく抑えられる筈です!!」


余りにも突飛な申し出でであったためか、流石の高御も困惑した声を隠せない。

だがその後に続く各国首脳の言葉の力強さがそれが本気である事を物語っていた。


「暴発を抑える為には自分達が強くなるしか無い……確かにそのとおりかも知れませんが……」

「無論直ぐに大量に兵器を送ってほしいとは言いません、そちらも戦力を整える必要はあるでしょうから。

現状では型落ち品でも構いません、此方に戦力を送って頂きたいのです」


アデルも困惑した声で各国首脳に問いかけるが各国首脳の返答はまたしても力強く裏表が無いものであった。

その声から各国首脳の決意が本気である事が伺える。

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