第百四十一話 青が調査する時

「ええ、そうしなければ又次の襲撃を受けた時に混乱に付け込まれてしまいます。

それを阻止し、更に防衛をより強固にする意味でも此処は技術を提供するべきかと」

「青の言う通りかもしれないが、それを僕達だけで勝手に進める訳にはいかない、傀儡政権を誕生させないためにもね。

だけど準備はしておくよ」

「提案を受け入れて頂きありがとうございます。

それともう一件、現地の大気中成分や水質も同時に検査していますが、少なくとも現時点においてあの自爆で有害な物質が散布されたという事実は確認出来ません」

「分かった、もし万が一何か異変があったら私がそっちに行くわ」


通信を送ってきた青は現地の混乱や大気、水質の調査も同時に行っており、その結果を告げると同時に自身の提案を受け入れてもらえた事に感謝の意を示す。


「大気と水質?何故その調査を?」

「自爆に紛れて有害物質を散布した可能性もあるからだよ、寧ろそちらの方が本命の可能性だって考えられる」

「しかし、その様な手口は……」

「情けない自虐になるけど少なくとも今まで僕達はそれを使うに値しない相手だったと思われていた可能性だってあるんだ、今回の自爆と言いこれまでにない動きが見られる以上これまで以上に慎重になっていく必要がある」


大気と水質の検査に対しアデルの側近兵士が疑問を抱くとアデルはこう返答しこれまで自分達が星間連合から侮られていただけかもしれないという事を述べる。

その考えに対し兵士は即座に否定したかった、だが出来なかった。

それが出来ていればそもそも今此処に自分達が居る事自体無かったかもしれないからだ。


「いずれにせよ星間連合がこれまでとやり方を変えてきたのであれば此方もそれに合わせて対応していく必要がある。

神楽、申し訳ないけど防衛戦力の増強を前倒し出来ないか?」

「可能な限り対応しますが、それでも今すぐという訳には行きません。

せめてもう少し汎用兵器を扱える人物を増やす事が出来れば……」


高御からの要望に対し神楽が納得はしつつも何色を示すと同時に何処かから通信が入ってくる。


「通信?又青君からですか?」

「いえ、この通信先は……各国首脳からよ」

「各国首脳への伝達は先程終えたばかりなのに一体何が?」


アデルとミスティが通信に反応した後、高御は疑問を抱きながらも通信に応対する。

それ程今回の通信は意図せぬ物なのだろう。


「立て続けの通信は申し訳なく思います、ですがどうしても聴いて頂きたい事があるのです」


通信画面に映った日本首相はこう告げる。

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