第百三十四話 兵士が抵抗しない時

「ええ、少なくとも現状拘束した部隊の構成員から有力な情報を聞き出す事は出来ていません。

最も構成員が何かを隠している可能性は自身は大いにありますが」


アデルはやや皮肉っているとも自分達の情けなさを自虐している様にも思える発言をする。

それに対してミスティは


「隠し事の心配ならエリーの能力があるから無用だけど、当然それだけでは無いのでしょう?」


とアデルに問いかける。

それに対しアデルは


「ええ、そもそも末端の兵士がどの辺りまで情報を持っているのか、その点も分からない以上どの程度まで入手出来るのか、その点も気になります。

最も一度は現地部隊に返り討ちにされた地域に差し向けている兵士である以上、そこまでの能無しを送り込むとは思えませんが……」


と不安を吐露するものの、その中には若干ではあるが希望もあると思わせる口調で返答する。

それを聞いた明帝は


「確かにアデル君の言う通りだね。

ただ、可能性として考えられる問題は蜥蜴の尻尾切りとして部隊を切り捨てる辺りだね」


とアデルの希望を信じつつも星間連合の部隊の尻尾切りを不安に思っていた。

一方地下牢に向かった神楽とエリーは現在正に議題に上がっていた星間連合の特殊部隊が収監されている牢屋の前に辿り着いていた。


「お前達は……」


中に居た構成員の一人が気付いたのかその視線を神楽とエリーの元へと向けるとエリーは


「高御様とミスティ様が拘束した構成員達ね、思ったより抵抗はしていない様だけど」


と周囲の状況を確認してからこう呟く。

それに対し兵士は


「フン……抵抗しようにも道具がねえんだよ!!」


と少し荒々しい口調で返答する。

それを聞いた神楽は


「一寸待っていて……成程、確かに何らかの武装や道具は持っていない様だね、いや、取り上げられたのかも知れないけど」


と調べる能力を創造して調べたのか兵士に抵抗する手段が無い事を告げる。


「流石に生身で抵抗しても仕方ねえからな!!だが俺達を尋問しようとしても無駄だ」


兵士は明らかに強気な口調でこう告げる、それはハッタリの様にも本気である様にもどちらにも思える口調であった。


「いや、君達を尋問するつもりは無いよ、元々力尽くで聞き出すつもりでは無いからね……」


神楽はそう告げると兵士達に対してこう告げる。

その口調は強気であるともそうでないとも言える内容であった。


「エリー、どうだった?」

「ええ、ある程度の情報は入手する事が出来たわ、只これをどう活かすかは今後の私達次第ね」

「それは元々だよ」


神楽が会話している間に能力を使ったのかエリーがこう発言する。

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