第百三十三話 地下牢へと向かう時
「そもそもあの異形が何処から来た存在なのか、まずそこから調べ始めないと」
神楽がそう告げると同時に部屋の中に七宝が入ってくる。
「だから私の出番と言う訳ね、高御様のお声がかかったから何事かと思ってきてみれば……想像以上に厄介な事態が発生していたんですね」
部屋に入ってくるなり七宝は軽口を叩くものの、その表情は全く軽さを感じない、明らかにこの状況に危機感を抱いている様子だ。
それを察知したのか、ミスティや神楽、アデル達もその事について触れる事は無い。
「ああ、早速で悪いが地下牢に向かって欲しい。
そして神楽とエリー、君達はその一つ上の階に向かって欲しい」
七宝が部屋に入ってきたのを確認すると高御はこう告げる。
「了解しました、直ぐに向かいます」
神楽、エリー、七宝は高御の命を受け、直ちに部屋から出てエレベーターに向かっていく。
そしてエレベーターに乗り込むと七宝は
「二人は一つ上の階に向かって欲しいと言っていたけどそこに何が居るの?
まさか空き部屋の清掃を二人に依頼した訳じゃないでしょう?」
と神楽とエリーに問いかける。
それを聞いたエリーは
「ええ、ミスティ様と高御様が身柄を拘束した偵察部隊がそこに居るわ。
恐らくはそいつらから聞き出せるだけの情報を聞き出して欲しいという事でしょうね。
だから私と神楽が向かう事になっているんでしょう」
と返答する。
「成程、拘束した兵士の尋問って訳ね」
次に七宝がこう話しかけると神楽は
「まあ、武力を使う訳じゃないけどね。
偵察部隊から少しでも情報を聞き出さないと今後の為にもね」
と返答し、次に繋げる為の情報収集が目的であると告げる。
一方アデル達も又その事を高御達から聞かされていた。
「偵察部隊からの情報ですか、何か特別な情報が得られれば良いのですが」
「中々厳しいだろうね、今までのパターンから考えると偵察部隊には恐らく必要以上の情報は伝達されていない可能性が高い。
今回の部隊がどの様な系統で出されているかが分からない以上、どの辺りまで迫れるか」
アデルと兵士の様子から拘束した偵察部隊から得られる情報には余り実りは期待出来ないと言った印象を受ける。
「と言う事は何度か星間連合の部隊を拘束した事があるの?」
「ええ、と言っても間抜けな末端の末端を拘束する事が辛うじて出来た程度ですが」
「今回の部隊がその末端の末端か、それともある程度上層に居る部隊なのか、それによっても変わってくるでしょうけど」
その発言は決して憶測ではなく、これまでの経験に基づいた物であった。
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