第百三十五話 異形を調べる時

「さて、七宝の方は何か掴んでくれたかな?」

「まだ戻ってきては居ないみたいね、私達の方から行ってみる?」

「その方が良いかも知れないな、纏まって合流してから戻った方が報告の手間も省けるし」


神楽とエリーはそう告げるとエレベーターに戻り、そのまま七宝が向かった一つ下の地下牢へと向かっていく。

そして地下牢の入口から中に向かっていくとそこから程なくして七宝の姿が見えてきた。


「七宝、君の方はまだ終わっていないの?」


神楽がそう問いかけると七宝は神楽とエリーの方へと体を向け


「神楽、エリー、そっちはもう終わったのね。

ええ、能力を使って調べてみたのだけどあの異形は本当に未知の存在だわ、少なくとも今まで私達が見た事も聞いた事も無い遺伝子や細胞を有してる。

これを解析するとなると直ぐというのは難しいわね」


と話し、異形の解析が能力を用いても尚難航している事を告げる。

それを聞いた神楽は


「成程、まだ時間がかかるって訳か……なら僕達は先に戻って高御様達に得た情報を報告した方が良いかな?」

「ええ、その方が良いと思うわ。

今のままだと此方は何時報告出来るレベルにまで到達するのは一体何時になる事かわからないから」


と七宝に問いかけ、それに対し七宝は神楽の発言を肯定する。

その直後にエリーが


「なら私達は先に戻っているわね」


と告げて神楽と共に踵を返すと七宝は


「ええ、報告をお願い、序に此方の状況も伝えてくれると助かるわ」


と二人に頼み事を行い、それを聞いた二人は静かに頷き合う。

それを了承したと言う事なのだろう。

そのまま二人はエレベーターに乗り込み、上の階、更には謁見の前へと戻っていく。

そして謁見の間に到達するとそこには先程まで居た面々だけでなくパウやクウォスも合流していた。


「あら、二人も来たのね。

なら話は早いわ」

「良く言うわね、私達が来ている事は気付いていたのでしょう?」


エリーの発言に対しパウが誂い返す様な返答を行うと同時にクウォスは


「まあそうだとは思うが、今はそれよりも……だ。

あの兵士達から何か情報は掴めたのか?」


と突っ込みつつも二人を現実へと引き戻すような口調で話しかける。

それに対してエリーは


「ええ、幾つかの情報は掴む事が出来ました。

まずあの部隊はやはり地球の現状とアデル君の行方を調査する為に編成された調査部隊であると言う事、そしてあわよくばワープゲートを作り出し、増援部隊を呼び込む役割も担っている事、そして……」


と兵士から入手した情報について話し始める。

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