第百十五話 協力の要請を行う時
「そうなのですか、なら一安心ですね。
その考えを違えてしまわないためにも早急に偵察員の身柄を確保しなくては」
「ええ、だけど流石にこのゲートを直ぐに設置するという訳にはいかないわね……」
「今まで見た事が無い物が突如として出現すれば大きな混乱を招くのは避けられないから……ですか」
「ああ、少なくとも現状で此方に協力する姿勢を見せてくれている国のトップには事情を話し、設置への理解と協力を求める必要がある。
その為の通信に最低でも今日明日はかかるだろうからね」
「その間に偵察員が何か仕掛けて来ない事を祈るしかありませんね。
本当に偵察目的であれば事を荒立てるような行動は取らないとは思いますが……」
「ええ、だけど何らかの理由で突如として暴挙に出るという可能性も考えられなくは無い、その点を考慮すると余り長く野放しにしておく訳には行かない」
一同が様々な視点、立場から会話を続けていく中、雛が
「降下した四つは既に地上に到着していると思いますが、具体的にはどの辺りに硬化したのでしょうか?」
と不意に疑問を口にする。
それを聞いた明帝は
「定石通りであれば人通りが少ないエリアに降下しただろうね、そしてそこから拠点となるエリアを作る。
故に直ぐに行動してくるとは思えないけど、異性連合の部隊に僕達の定石を当てはめて良いのかどうかと言う疑問は残る」
と返答しつつも内心に一抹の不安を抱いている事を覗かせる。
それに対してアデルは
「その辺りの心配は必要ないかも知れません、奴等を肯定する訳ではありませんがその戦術は決して素人と言う訳ではなく、少なくともある程度の訓練は受けている筈です。
そうした訓練を受けている以上、素人を偵察部隊に選定したりはしないでしょう」
と言葉を続け、明帝の心配はある意味では杞憂である事を告げる。
それを聞いた明帝は
「それはそれで不安な気持ちにもなるけど、少なくとも此方には各国首脳に協力を要請するだけの時間はあると考えて良さそうだね」
と不安ではあるが一方で安堵したかの様に思える発言をする。
「なら僕達は早速各国首脳と交渉に入るよ、その間皆は休んでいて。
何時動いてもらう事になるかわからない以上休息が重要だよ」
高御がそう告げるとシュガーは
「はい、そうさせて頂きます」
と言い、今回迎撃に出た他の面々と共に部屋の外に出ていく。
それを確認した神楽達とアデル達も又部屋の外に出ていき、一方で高御とミスティは手元にある通信装置を操作し始める。
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