第百十六話 二度目の会談を開く時

「はい、此方日本首相……」


通信機から伝わってきた声は日本首相のものであった、どうやら高御は日本首相に最初に連絡を取った様だ。


「此方高御、実は申し訳ない事に……」


と言うと日本首相に事情を説明する。

それを聞いた日本首相は


「成程……分かりました、直ぐに他の各国首脳に此方からも連絡します」


と協力する意思を見せ、それを聞いた高御は


「僕達も並行して行います、その方が早いでしょう」


と並行して連絡を入れていく事を提案する。

それを聞いた日本首相が黙って首を縦に振ると高御、ミスティは直様他の国に連絡を入れ始める。

しかし連絡を入れ終えた後


「やはり急に会談を行うのは無理だったわね……」

「だけど明日の昼から時間を取ってくれる事になった、それだけでも十二分にありがたい話だよ」

「後はその時間までに星間連合が動いて来ない事を祈るのみですね……少々もどかしい気もしますが」

「今此処で焦っても仕方ありません、それよりも此方は戦力を整えます。

場合によってはそちらにも戦力を整えて頂く必要があるかも知れません」

「戦力を?しかし此方には……」

「大丈夫です、明日の会談で僕達が提案します」


と直ぐに会談は行えない事を認識する、しかしその直後に明日の昼会談を開催してくれる事が伝えられた為三人の顔には僅かながらも安堵の表情が見える。

そしてそこで高御は何かを提案しようとしているようだ。

一方用意された部屋に戻ったアデルは


「地上に星間連合の部隊が降下してきたか……だけどそれ以上に気になるのはワープゲートの出現位置だ。

奴等の手口から考えるとあんなだだっ広い所にゲートを出現させるとは考えにくい。

何か理由があるの?そうするべきだと思った理由、あるいはそうせざるを得なかった理由が……」


と内心で今回の侵攻に対し高御達にも口に出さなかった疑問を抱いていた。

そして翌日の昼間、昨日の連絡通り高御と各国首脳が通信機越しに会談を始める。


「本当なのですか?星間連合の偵察員が地上に降下してしまったというのは?」

「はい、申し訳ございませんが事実です。

この件に関しては言い訳のしようがありません、深く謝罪します」


デトロイト州の知事の発言に対し高御は言葉と共に深々と頭を下げる。


「しかし、現状我々には戦う術どころか見分ける術も……」


香港のリーダーがこう告げると高御は


「それに関しては既に此方で手は討ってあります、ですがそれを実行するにあたって皆さんにその事を広報して頂く必要があるのです」


と今回の会談の目的が何処に有るのかを明確にする。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る