第百十四話 ゲートを潜る時
神楽に促されるままにシュガーは神楽が出現させたゲートの間を潜っていく。
だがそれに対して特に何の反応も起きる事はなかった。
「?特に何も起きませんが……これで良いのですか?」
「ええ、これで良いのよ。
次にアデル君、君が潜ってくれる?勿論他の兵士の方でも構いませんよ」
「いえ、僕が潜らせて頂きます。
その方が皆さんも信頼してくれるでしょう」
シュガーが神楽に対して疑問を問いかけると神楽はそれでいいと返答し、続けてアデルに対しても同じ様に潜る様に促す。
それに対してアデルも了承する。
そしてそのままゲートに向かっていき、その間を潜る。
しかし、それでも一見すると何も起きない。
「?僕が通過しても何も……」
アデルはそう言いかけたが周辺の兵士がゲートを見て
「いえ、皇子……皇子がゲートを潜られた瞬間に上の方が赤く点灯致しました……かなり細部の小さな変化ですが……」
と告げる。
それを聞いたアデルがゲートから離れて上の方に目をやるが特に赤い光は見られない。
「?赤い光がどこに点灯しているの?」
「皇子がゲートから離れた瞬間に赤い光が消灯しました。
それを証明する為にはこうした方が良さそうですね」
アデルが疑問を投げかけると兵士はこう返答しゲートの間に入っていく。
そしてゲートの中心に入って行くと兵士が言っていた通り、上の方に赤い光が僅かではあるが点灯する。
「確かに点灯しているね、あれが識別していると言うサインなのでしょうか?」
「ええ、地球人とそうでない人の遺伝子の差異を感知しそのデータを検証して素早く探知する。
その上でデータを照合し調査員ではないかを判別するゲートよ」
アデルが更に問いかけると神楽はその詳細を説明する。
「大きな音で警報を鳴らしたりはしないのですか?」
「そんな事をすれば大騒ぎになるわ。
確かにそうすれば偵察員は逃走するでしょうけど混乱は避けられない上、その偵察員の身柄を拘束する機会も失う事になる」
「それは分かりましたが、偵察員である事を態々照合する必要はあるのですか?地球に居る異星人は異星連合の偵察員しか居ないのでは?」
「現状では確かにそうね、だけど今後の事も見据えると今の内からこの機能をつけておきたかったのよ」
「今後の事……と言うことはつまり、そういう事ですか?」
「アデル君が今考えている事と神楽が考えている事は一致しているわ」
アデルが問いかけるとエリーはアデルと神楽が同じ事を考えている事を告げる。
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