第百一話 共闘者が見える時

「更に加速性能、小回り等機動性も強化されていますね。

今までの感覚と比べると若干振り回されてしまいそうな部分はありますが」

「本当に振り回されないでよ、そんな事になれば神楽さん達に申し訳が断たないんだから」


兵士が機動性についての感想を述べるとアデルは何処か釘を指す様な発言をして兵士の気を引き締め、そのまま敵の無人機に向かって接近し右手に装備されている実体剣を構えて中心を両断し爆散させる。


「剣の切れ味も向上しているね、この威力、今までの兵器の剣とは明らかに違う」


アデルがこう感想を述べると同時にその背後から兵器が接近し不意を突こうとする。

だがアデルはそれに気付いていたらしく直様振り返って振り下ろされた剣を構えていた剣で弾く。

すると兵器が振り下ろした剣は一瞬で両断され、単なる短刀へと成り下がる。


「やはり威力が向上している様だね、そうでなければ鍔迫り合いになっている筈だから」


アデルはそう言うと同時に直ちに兵器から距離を取り、腰部分に装備されている機関銃で兵器を攻撃、迎撃する。


「今までの延長線上であればこの位はやって見せないとね」


そう告げるとアデルは直様次の交戦体制を整え、周囲を見渡す。

するとそんなアデルを兵器は危険と認識したのか、複数の兵器が一斉にアデルの方向に向かってくる。

その数はゆうに十機を超え、残っている無人機ほぼ全てが向かってきている状況だ。


「つっ、僕が重要人物だと認識されたって事なの?あれだけの数が一斉に向かって来るとなると厄介ですね……」


そう言いながらもアデルは迎撃体制を取り、それに続く様に周辺の兵士もアデルの周りに集まって護衛しようとする。

だがそこに


「一寸!!そんな風に集まってどうするんですか?」


と言う通信が入ってくる。


「え!?この様な声の兵士は我が方には存在していませんが……」

「だとしたらこの声の主は神楽さんが言っていた?」


突然聞こえてきた聞き覚えの無い声にアデルと兵士が困惑した直後、前方から接近してきた兵器が一機、又一機と撃墜されていく。


「敵の動きが単純になっているのですからその鋤を突くのは定石でしょう」


再び聞こえてきた声と共に兵器の後ろから更に別の兵器が現れる。

その兵器は無人機とは異なっており、それが神楽達の機体と同型機である事を把握するのは容易であった。


「と言う事はつまり、この声は……」

「ええ、今回のテストで貴方達と共闘している者です」


兵士の一人が声を上げると同時にその兵器から先程と同じ声が聞こえてくる。

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