第八十二話 神楽が発表する時
「もうすぐ時間か……しかし流石神楽だね、これだけ短い時間で情報を纏めてくれるなんて」
「ええ、只、もしかしたら……」
「分かってる、其の位の情報しか入手出来なかったのかも知れない、そう言いたいんでしょ?」
「ええ、神楽やエリー、七宝には申し訳ないんだけど……」
「まあ、其の時はその時だよ。
最もそうだとしたら彼等の方から先にそう説明してくれると思うけど」
高御とミスティが隣り合って会話をした直後、会場の電灯が切れて正面に居る神楽にスポットライトが当たる。
「皆さん、本日此処に集まって貰ったのは他でもありません、昨日襲撃してきた異星人軍について現時点までで判明している事を報告するためです」
神楽はそう告げると前方のスクリーンにスライドを映し出す。
「其の画像は一体?」
明帝が神楽に質問すると神楽は
「これはエリーが入手してくれた兵士達に関する情報を纏めた物です」
と答える。
言動が敬語になっているのは恐らく高御、ミスティもこの場にいる事を反映しているのだろう。
「マルティー、それがこの異星人の名称なのね」
「ええ、恐らくは彼等の母星の名称と思われます、そしてこのマルティーという異星人は星を跨いだ連合を結成しており、其の中でも特に上位に位置する立場であるようです」
「それが武力闘争を望んでいるとなると厄介だね……これだけの規模が一斉に攻めてきたら……」
「でもそれなら早々にそうした方が早いのでは?それともそう出来ない理由があるのかしら?」
神楽の提示したスライドからこの異星人がマルティーと言う名称である事や星を跨いだ連合を結成している事が分かる。
そして会場から出たこの疑問に対し神楽は
「その疑問は次のスライドを見ていただければご理解頂けると思います」
と告げて手元の機器を操作し、スライドを変更する。
そして表示されたスライドを見た会場の一同は
「これは……成程ね、確かにこれなら一斉に攻めてこないのも納得だわ」
と言ったミスティの頷きを皮切りに一斉に納得した表情を浮かべていく。
どうやら神楽が提示したスライドにはそれだけの根拠が示されている様だ。
「続いてこのマルティーという勢力が使用している機動兵器についてです」
神楽はそう言うとスライドを変更する。
新たに表示されたスライドにはマルティーの機動兵器らしきデータが表示されていた。
「データから推測すると汎用性の高い一般兵機と言った印象だね、となると拘束した兵士は末端の可能性が高いか……」
「私もそう考えています、故に先程の情報は全てのマルティー人に共有されている可能性が高いでしょう」
明帝が又言葉を漏らすと神楽もそれを肯定する。
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