第八十話 異星の視点に移る時

「ええ、色々と分かった事が出てきたわ、そしてそれは貴方も同じなんでしょう」

「勿論よ、色々なデータを入手する事が出来たわ、只、それで何処まで当てになるかは不明だけど」

「そうだね、なら後は私の方で統合するよ、只それには少なくとも丸一日程掛かりそうだよ」


七宝、エリー、神楽はそれぞれ口々に何かを話し、話を纏めて行く。

その様子から察するに彼等はそれが何を意味しているのか明確に理解している様だ。

もっともそれは当然といえば当然だが。


「それじゃ後は私のお仕事だね、それがあるから部屋に戻るよ」


神楽はそう告げるとその場から離れ、そのまま何処かへと向かっていく。

それを見届けたエリーと七宝は


「神楽も仕事熱心ね、少しは休んだ方が良いと高御様がおっしゃるのも納得だわ」

「それが良い所でもあるんだけど、まあ止めた所で聞く訳ないでしょうし」


と感心している様な、呆れている様な発言をする。

そんな事を話されている当の本人はと言うと自分の部屋に戻り室内の機器を立ち上げていた。


「さて、二人が入手してくれたそれぞれを統合すると……と」


と呟いて何かの作業を開始する。

一方その頃、何処かにおいて


「何?先遣隊の消息が途絶えただと?」


という声とそれに対応する


「ええ、しかもワープゲートも破損しており、使用不可能です」


という声が聞こえていた。


「ワープゲートが使用出来ないだと?此方側の装置の不具合ではないのか?」

「ええ、此方側の機器に異常が発生した訳ではなく、向こう側から何か仕掛けられたものと思われます」


更に続くこの言葉から声の主が今回の侵攻部隊である事は明白であった。


「地球にはその様な技術が存在しているというのか?」

「いえ、その様な情報は掴めておりません……それにワープ先も本来様々な場所に設定していたにも関わらず一箇所に集まってしまっていますし……」

「ワープ先が此方の設定した場所と異なっていたと言う事か?その様な異常は今まで発生した事が無いが……」

「ええ、今までにない異常が起こった結果消息が断たれたのかも知れません、ですがそうだとすれば直後に帰還して来なかったのは奇妙な現象です」

「それは調査する必要があるな……直ちに調査し原因を突き止めよ。

もし此方側に原因が無いのであれば尚の事だ」

「了解!!」


この会話からこの二人の当面の目的がワープの異常の原因の調査に絞られた事は明白だった。


同じ頃、又異なる場所においても


「あの部隊を退けられたというの……だとすれば何としても……」


と誰かが呟く声が聞こえてくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る