第七十九話 エリーの眼が光る時

「それは神楽様達も同じなのでは?高御様が何度も仰っているにも関わらず未だに変更されていないのですから」


その見張りは神楽の誂いに対し臆する事無く返してくる、やり取りの呼吸から考えるとどうやら普段から交わしているようだ。


「さて、そろそろお仕事の本題に入らないといけないわね、通してくれるかしら?」


エリーがそう監視者に告げると監視者は


「ええ、そうさせて頂きます。

そしてお願いします」


と言ってエリーと神楽を部屋の中に通す。

するとその中にいる兵士達は


「ええい、俺達を此処に捕えてどうするつもりだ!!」

「拷問なら応じんぞ!!お前達等に与えてやる情報等……」


と口々に騒ぎ始める、どうやら情報を渡すまいと抵抗している様だ。

そんな兵士達に対しエリーは


「私達は拷問なんてしないわよ、いえ、正確に言えばする必要が無いのよ、拷問なんて!!」


と余裕を見せた口調で返答するものの、最後の語気は明らかに強めになっていた。

その強い口調と共にエリーは両目を光らせ目の前に手を翳す。

そして暫くすると


「もう良いわ、後はこの兵士達の今後についてだけど……」

「外宇宙の侵攻者である以上釈放する訳にはいかないね、だけどこれ以上有力な情報も得られない。

一旦はこのままにしておいて又後日どうするかは考えようか」


とエリーと神楽は会話する。

そこに


「ええい、俺達に一体何をした!?表面上には見えなくてもお前達が何かをしたのは……」


と兵士が食ってかかろうとするがその次の瞬間全ての兵士がふっと意識を失いその場に倒れ込む。

それをみた監視者が


「あら、神楽様も能力をお使いになったのですか?」


と問いかけると神楽は


「ああ、あんまり煩いと考えを纏める妨げになるからね」


と返答する。

どうやら今の現象は神楽が引き起こした様だ。


「それは分かったけど、考えを纏めると言う事は七宝も何かを掴んだという事ね」

「ああ、今後の動きについても考えられる話が幾つも出てきたよ、只、纏めるには少し時間がかかりそうだけど」


エリーと神楽が確認し合う様な会話を行うとエリーは


「なら部屋に戻った方が良いんじゃない?このまま高御様の所に行ってもどの道同じ事を言われると思うし」


と言葉を続け、その言葉を受けた神楽も


「エリーがそう告げるのであればそうなんだろうね、此処はその言葉に従わせて貰うよ」


と納得した言葉を述べてエリーと一緒に階段を上がり部屋を後にしていく。

するとその直後に七宝が合流し


「あら、その顔から考えると収穫があったみたいね」


と神楽とエリーに話しかける。

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