第七十四話 初洗浄が終わる時

「さて、身柄の拘束に成功したし敵の一番手も防いだ事だし、私達も戻りましょう」

「拘束した兵士達から情報を仕入れる必要もあるしね」

「それは私の十八番でしょう」


三人それぞれがそう話しながら兵器に乗って帰投していく、その光景は先程まで戦場に居たとは思えない程あっけらかんとしていた。

今の一連の流れの一部始終を見ていた各国首脳の口からまず出てきた言葉は


「あの兵器達は一体……私達が今まで全く見た事も……いや想像した事も無い兵器達が戦い、しかもその内の一方が私達を守ってくれた……」


とこの状況を尚心の底から信じる事が出来ず、ただ只管に困惑し続けていると言う声であった。


「あの兵器は……貴方達と交戦していた兵器は一体何なのです?最後は自ら引き込まれていった様に見えましたが……」


困惑し続けている中でも辛うじて理解した部分を何とか口にし、高御から情報を聞き出そうとする。

だがそれに対する高御の返答は


「残念ですがあの兵器達については僕達も現時点で分かっている事は殆ど有りません、迎撃したのも実は今日が初めてであり、ここまでスムーズに行けるとは正直思っていなかったのです」


という予想とは異なる困惑せざるを得ない物であった。


「貴方達も分かっていないのですか?でしたら……」

「ですがあの兵器達が友好的でない事だけは確実です、既に我々に対して何度も小競り合いを仕掛けてきていますからね。

最も狙っているのが地球なのかそうでないのかが断言出来なかったので本日の交渉の場までは口にしなかったのですが、まさか皆さんの目の前で狙っている事を暴露してくれるとは思いませんでしたが」


首脳が何処か拍子抜けした発言をするが、高御はこう明確に返答して今回の一件が決して安心出来る結果ではない事を告げる。


「では、貴方達がこの交渉を持ちかけてきたのは……」

「ええ、あの兵器を送り込んできた軍勢と戦う力を私達が持っている事、そして外からの脅威が迫っている事を知って貰う為です。

ですがいきなり戦争を仕掛けてくると言っても現実味が無いでしょう、その為交渉という形を取らせて頂きました」


首脳の質問に対し高御はこの交渉の真意を話す。


「つまり我々にも共に戦えと?」

「いいえ、戦いは僕達がやります、なので貴方達にはあの兵器達の存在がある事を把握して欲しいと言う事、そして万が一の際には速やかな行動に移してほしいということです」


首脳のさらなる質問に対し高御はこう返答し、各国首脳に対し協力を要請する。

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